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4.13-14 再稼動阻止全国ネット羽咋合宿報告

反原発自治体議員・市民連盟から参加
杉並区議会議員 けしば誠一

4月13-14日、石川県羽咋市で再稼動阻止全国ネットワークの合宿がもたれ、7月規制基準策定を口実に目論まれている原発再稼動を止めるための全国方針が確認されました。

原発立地からは、北海道泊、福島、東海村、静岡、柏崎刈羽、福井、関西、伊方、宮崎、隣接する富山から12名、地元は羽咋、志賀、七尾、中能登町、金沢、輪島、小松、から総勢30名、主催5団を含め計70名の参加で、用意した告資料が足りなくなる盛会でした。

第1日は、全国ネット共同・柳田代表から、昨年11月結成以来の経過と再稼働を巡る情勢が報告され、「再稼動との決戦期に入った、全国の力を集め、持てる総力で闘おう」と提起されました。反原発自治体議員・市民連盟から原子力防災計画について報告がなされ、自治体に義務付けられた原子力防災対策が、再稼動を前提にする限り何ら現実性のない計画であることが示されました。

防災対策重点地域が30キロ圏に拡大されたことで、21都道府県135市町村、480万人に対象が拡大し、原発立地で防災計画の非現実性を攻めたてる絶好のターゲットになったことを確認しました。その後、全国の原発立地からの報告、福島の橋下さんから現状報告、淵上さんから経産省前テント撤去裁判と闘う方針、地元志賀現地からの報告と討論が行われました。

2日目、13日朝の関西の地震で26時間がかりで伊方から堀内さんが合流。最後に、柳田代表から、「再稼動の嵐を待つのではなく、いまから各地で取り組みを進め、全国現地の連携と運動の強化をはかろう」とまとめがなされました。5月は第2派として柏崎刈羽行動、6月第3派行動は、6.2国会包囲、6.3規制庁闘争、23~24伊方現地行動、29~30大飯-高浜集会、泊(北海道)の集会、7月に向け再稼動が予想される原発現地行動と規制庁抗議集会などが確認されました。

その後、車で志賀原発に隣接する団結小屋に終結。今年89才になる橋さん、80代には見えない若さの小川さんの、「こらからも闘ってまいります」との決意に、誰しも目頭を熱くしました。その後2人一組で志賀町全域のビラ入れ行動、町民の好反応に感激しました。

多名賀さんをはじめとする羽咋のみなさんの大変なご苦労で、2日間滞りなく開催できました。地元側の参加が予想以上に増えたことこそ、現地の努力が実を結んだ証でした。

全国が一つになって、各々の限界も率直に話し合い、いっそう心が通じ合い、「再稼働阻止」に向けた連携が深まった合宿でした。困難に立ち向かう勇気を得た思いを、誰もが感じた2日間でした。

再稼動阻止全国ネット 羽咋・全国交流会の御礼とご報告

2013年4月17日
命のネットワーク代表 多名賀 哲也

再稼動阻止全国ネット-羽咋合宿・全国交流会への参加ご苦労様でした。遠路にもかかわらず、みなさまの御来羽により、60部用意した資料が足らなくなる盛況で、無事終了することができました。受け入れ地元側として厚く御礼申し上げます。

柳田真・全国ネット共同代表、淵上太郎・経産省前テントひろば代表をはじめ北海道・泊、福島、東海村、首都圏5団体、静岡、柏崎刈羽、福井、関西、伊方、宮崎など28名、富山12名、地元は30名(羽咋10、志賀5、七尾3、中能登町3、金沢4、輪島、小松)、計70名が参加し、翌日には志賀町全域(高浜市街地、堀松地区、志加浦地区、福浦、富来市街地)でのビラ入れ行動を実施できました。

2日目のまとめで、5~6月にむけた行動の焦点が鮮明に提起されました。再稼動の嵐を待つのではなく、いまから全国現地の連携と運動の強化をはかろうという思いが一歩前進したのではないでしょうか。当地でも、30キロ圏各自治体への申入れ行動とともに、6月行動:6/2(国会包囲)、6/23~24(伊方)にぜひ参加しようと話が始まっております。

ただ、当方のスタッフの少なさから2日目の志賀町現地行動で幾つかもたつき、志賀原発の全景をご覧いただけなかったのが残念です。もともと、人口2万3千人の小都市・羽咋が全国合宿を受けたのは2つ理由がありました。

一つは若狭の原発銀座と巨大立地点・柏崎刈羽にはさまれているためか、「石川に原発があったの?志賀原発ってどこ?」という声をよく聞くので、志賀も全国現地の一つと知ってもらいたいと思っていたからです。

二つ目は石川自身の発信力の弱さとフットワークの重さを克服するきっかけになれば、と考えたからです。その点では、首都圏はもちろん北は泊、南は宮崎まで遠路をいとわず駆けつけた再稼動ストップへのみなさまの熱気は、地元の仲間に強いインパクトになりました。地元側の参加が予想以上に増えたのも、その反映です。

百聞は一見にしかず。福島・橋本さんの「東電や官僚、経団連のヘッドが路頭に迷うなんて聞いたことなく、私たちの苦しみを分かっていない」という訴えは何よりも胸に響きました。また刈羽村議・近藤さんの「防災計画は全く現実にはありえない想定で成り立っている。仮に避難できても帰って来れない避難ば避難とはいえない」との報告も、30キロ圏の私たちにとってストンと納得できました。事態は防災計画の是非を超えています。

長くなるのでこれ以上ふれませんが、他の方々の報告も参考、励ましとなることが沢山ありました。それらをふまえて、私たちのフットワークと発信力を強めたいと思っています。また、インターネットで全国交流会を知り、命のネットに新加入する人も出てきました。引き受けてよかったと実感しています。重ねて御礼申し上げます。最後に、6月行動の中での再会を約して!

―地域防災計画(原子力災害対策)について―

2013/4/13~14開催・全国交流会での配布資料
(文責・布施哲也)

(1) 自治体と地域防災計画

災害対策基本法第40条から45条に、都道府県と市町村は、それぞれの地域防災計画を定めるという規定がある。各自治体の長は、それぞれの防災会議(中小自治体は設置しない)に諮り、防災のための業務などを具体的に定める。そして、「毎年市町村(都道府県も)地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない」とされる。関係自治体が地域防災計画に原子力防災対策に関する修正を加えるのは、「必要があると認めるとき」に該当するため。

国は関係地方公共団体に対して、改正原子力災害対策特別措置法の施行後、半年程度の経過措置期間内に地域防災計画(原子力編)の修正をすることを求めていた。このため2013年3月18日がめどとなっていた。
都道府県や比較的大きな自治体は別だが、中小の自治体では数多ある計画書の策定に関しては、外注先として「コンサルタント企業」が関わってくる。一方国は、計画のマニュアルを作成し、防災専門官を市町村に派遣し助言をしている。このため、全国一律の「防災計画」が誕生することになる。その結果は、実質が伴わない机上の作文としての「計画」となる。各自治体の「地域防災計画」の原子力防災の項を、比較・検討することが重要となる。

(2) 原子力規制委員会と「原子力災害対策指針」

福島第一原発の事故の結果を受け、原子力規制委員会は、災害対策基本法と原子力災害対策特別措置法に基づき新たな原子力災害対策指針を示した。前提としての事故は、水素爆発などによって大量の放射性物質が放出した過酷事故というものだ。

「主な項目」

  • 防災対策重点区域(UPZ)を従来の8~10キロ圏から30キロ圏に拡大。
  • 5キロ圏/原発事故が起きた際に直ちに避難する「予防防護措置区域」(PAZ)。
  • 30キロ圏/を事故対策が必要となる「緊急防護措置区域」(UPZ)。
  • 甲状腺被曝(ひばく)を防ぐ安定ヨウ素剤の配布を50キロ圏でも検討
  • オフサイトセンター(OFC)=事故時の対応拠点の改。原発から5~30キロに設置し、30キロ以上離れた場所に複数の代替施設を確保。従来の住民への連絡手段・避難方法・被曝医療体制の確保から、放射能汚染などにも耐えられるよう改修・防災訓練。
  • 未定部分=規制委員会で検討する/国か自治体か予算・住民避難の判断基準。

指針の特徴は防災対策重点区域の拡大であり、21道府県135市町村、対象人口は約480万人となる。実際の汚染領域とは別だが、それでも当事者となる住民と自治体が大幅に増え、原子力防災に関する住民・自治体の発言力が増すことになった。

以上が主たる内容だが、この結果、対象自治体は15道府県45市町村から、21道府県135市町村に拡大、人口は約480万人になる。
これらの自治体が、原子力災害対策を加味した地域防災計画を策定する必要がある。対象とならない自治体は、独自の判断で原子力対策をすることは妨げるものではない。福島第一原発事故の現実から、少なくない圏外の自治体が策定をし、策定を計画している。

(3) 自治体と原子力防災対策

原発30キロ圏内の149道府県・市町村(福島一部除く)を対象に、原子力防災計画に関するアンケートを実施している。(2013年2月22日~3月4日・回答148自治体)。
10の設問の中で、「地域防災計画で残された課題」(特に深刻なものを3つまでを選ぶ)と、「近くの原発の運転再開について」の回答は以下となっている。

◆「地域防災計画で残された課題」

・高齢者など要援護者の避難支援・・59%
・避難の交通手段・・・・・・・・・50%
・ヨウ素剤の対応・・・・・・・・・45%
・避難先の確保・・・・・・・・・・36%   以下略

◆「近くの原発の運転再開をどう考えるか」

・再開を認める・・・・・・・・・・12%
・いずれは再開を認めたい・・・・・35%
・当面、再開を認めない・・・・・・22%
・今後一切、再開を認めない・・・・・6%
・今は判断できない・・・・・・・・25%   以下略

原子力災害に備えた地域防災計画は7月に施行される原発の新安全基準とともに、「安全の両輪」と位置づける重要なものはずだが、現実は、アンケート結果からも知れるように、肝心の避難支援とその交通手段の確保がままならない。原子力規制庁原子力防災課の調査(3月19日)でも、道府県は別として、過半の市町村は策定できていない。日本原子力発電東海第2原発を抱える茨城県では、「原発周辺に約100万人が住むため避難場所の確保が明記できず、18日までに作成できなかった」としている。

これらこともあり、「安全の両輪」がいつのまにかトーンダウンし、策定は再稼働の前提条件にならないと聞こえてくる。
自治体の考えは、「近くの原発の運転再開をどう考えるか」に注目したいが、「当面」「一切」というニュアンスの違いはあるが、計算上「再開を認めない」自治体が50を超えている。立地自治体は別として周辺自治体の真っ当な考えだ。

30キロ圏を越える自治体も動きはじめている。そのひとつとして、柏崎刈羽原発から崎刈羽原発から約80キロに位置する富山県の糸魚川市は、「原子力防災計画」を作成するという。

札幌市でも地域防災計画(原子力災害対策編)を策定している。「泊発電所から放射性物質又は放射線が異常な水準で事業所外へ放出されることにより生ずる原子力災害の防災対策に関し、札幌市、北海道及び防災関係機関が必要な体制を確立するとともに、とるべき措置を定め、総合的かつ計画的な原子力防災事務又は業務の遂行により市民の生命、身体及び財産を原子力災害から保護することを目的」とうものだ。

その主な内容は、「警戒配備」として、情報の収集・連絡、緊急連絡体制及び通信の確保、緊急時モニタリングの実施、市民への的確な情報伝達活動。
「災害対策本部設置」として、活動体制の確立、屋内退避等の防護措置の実施、社会的混乱の防止、飲料水・飲食物の摂取制限等の実施、交通の確保、災害時広聴活動、泊発電所周辺自治体からの避難者の受け入れ・支援。となっている。実効性があるのだろうか。

(4) 再稼働阻止と自治体

「地域防災計画」に組み込む「原子力防災対策」が、7月に施行される原発の新安全基準(最近は安全という定義を変更するようだ)とあわせ、原発の再稼働の条件とされていた。でも、状況が変化している。対象自治体からは、「法律があるので策定するが、防災の具体化は疑わしい」「再稼働を前提とした防災計画ではない」などの声が高まっているからだ。計画の策定が再稼働を後押しするものとならない状態となっている。

地元住民、市民(住民)団体による原発立地自治体と周辺自治体への強い働きかけがあるからだが、なによりも福島第一原発事故の現在進行中の過酷事故の現実が、「原子力防災は事故後の対策は不可能」「再稼働させないことが唯一の原子力防災」ということを理解しているからだろう。

再稼働では腰砕け状態となった関西広域連合でさえ、「福井県の原発事故で琵琶湖(滋賀県)が放射性物質に汚染された場合、近畿地方の住民の四分の三が飲み水を確保するのが困難になる」と明かしている。給水対象人口は350万人となるので、実際の対策は取りようがない。資産家と権力者は別だろうが、放射能入りの水を飲むしか選択肢はない。
やはり基本はカネとなる。電気料金を原資とする数兆円の原発発推進費は、これまでは立地自治体に配られてきた。匿名となる寄付金、稼働することで増える原発の固定資産税なとだ。しかし、原子力防災の対象自治体を増やさざるを得なかったため、これまでカネを配ってこない自治体も原発への発言が可能になった。

政府・電力会社の対応は三つつとなる。ひとつは、原発推進費を配る対象自治体を拡大することだ。でも、現在の財政状況(電力会社も)では難しい。二つは、政府・自治体の意向に反することを主張する自治体へ圧力を強めることだ。その際に重要となるのは、各種補助金・交付金となる。自治体の自主財源は三割程度しかないため、財布の紐を道府県は国が、市町村は国と道府県が握っているためだ。このことは現に実行しており、その枠を広げることは可能だ。最後は、国や県による締め付けができないほど、市町村の声が大きく強くなるのなら、マスメディアを使ってその声を無視することになる。

再稼働阻止の運動のひとつとして、自治体の長と議会への働きかけをつづけたい。道府県の知事の過半は中央官僚の出身者であり、泊原発を抱える高橋はるみ北海道知事は経済産業省の出身だ。これらの知事へのむ働きかけはかなり困難だが、身近な市町村はまだ可能性がある。地域防災計画、特に原子力防災が机上の作文であることを承知しているのは、市町村の長であり、議員であるからだ。政府・電力会社によるカネの圧力に対し、住民の生存・健康ということを対抗軸としたい。

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関連情報

2013年03月15日 原子力防災・自治体アンケート結果(NHKかぶん)
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/149403.html

※全国各地の活動について紹介(再稼働阻止全国ネットワーク事務局)

泊原発廃炉訴訟第5回口頭弁論が2013年4月15日札幌地裁で行われました。

この訴訟は、福島原発の事故を受けて7月に結成された「泊原発の廃炉をめざす会」の呼びかけで原告団が形成され、第一次原告に612人が加わり(2011年11月11日)、合わせて原告1,233名による稼働中原子炉の廃炉を求めた全国初の裁判です。

裁判の争点の一つは、北海道電力がひた隠す泊沖の活断層の存在で、「廃炉をめざす会」は大間原発の建設中止も求め、裁判と同時に広範囲な人々に訴えて運度を進めていくとの事です。

4月15日の口頭弁論では「廃炉の会」共同代表の清水晶子氏と岩内町町会議員・佐藤英行氏が意見陳述を行いました。今回佐藤氏より、陳述書の全文と陳述の裏づけとなる貴重な資料の提供がありましたので皆様に公開いたします。

原発がいかに民力を殺ぎ放射能の汚染を地元にこれまで強いて来たかが分かる貴重な資料ですのでご活用願います。(事務局)

(註1および下線部は事務局による。下線部に示される資料(陳述書別紙)をPDFで掲載

泊原発廃炉訴訟 札幌地裁 第5回口頭弁論 意見陳述書

陳述人 佐藤英行(岩内原発問題研究会 岩内町町議会議員)

「共和・泊」[註1] 原子力発電所として北海道電力が原発建設を発表して以来、泊原発建設“絶対反対”決議を続けてきた岩内郡漁業協同組合に対し、北海道電力の攻撃が強まり、絶対反対決議も揺らぎ始め、漁協の最高決議機関である総代会が賛成派の要請で1981年8月15日開催された。

この日の岩内郡漁協の臨時総代会は乱闘になり流会、再度9月28日に開催された臨時総代会で泊原発建設「絶対反対」の看板を下ろし「条件付き賛成」と路線を変更した。
12月に第1次公開ヒアリング、翌1982年3月には電源開発調整審議会において承認され、補償金・産業振興資金も妥結して行った。

1982年の岩内町はまだ基幹産業が漁業と対外的に言える状況だった

1982年の漁獲量17,419トン、漁獲高38億8600万円、漁船数323隻(1t未満104、10t未満102、50トン未満95、100トン未満20、100トン以上2)、正組合員525名を誇っていた。そのうち鯳(すけそ)は、はえ縄漁52隻で14,750トン、23億7400万円を水揚げしていた。しかし原発建設、そして初臨界、試運転、営業運転と経過するにつれて衰退していった。2010年の漁獲量は82年対比16%の2,722トン、漁獲高は15%の5億7400万円、漁船数25%の82隻(10t未満65、50トン未満15、100トン未満2)で正組合員数においては14%の72名までに減少した。(表1)

スケソウダラは鯳(すけそ)と書き、海底の深いところにいる魚ということで魚へんに底をあてたとされている。北海道での主な産卵場は岩内湾、噴火湾、根室海峡で、産卵期は12月から4月で1~2月が盛期である。3~5℃の冷たい水温が産卵適温である。岩内の漁ははえ縄漁といい、200m位の水深に針に餌をつけての釣り漁法であるので鮮度がよく、刺し網漁が主の古平町の単価120円/kgに対して161円/kgと高値を付けていた。加工後、岩内産のたらことして全国に名を馳せていた。

泊原発1号機の初臨界が1988年、2号機が1990年、そして3号機が2010年であり、その間取水より7℃高い温度の海水を、1号機、2号機それぞれ40t/秒、3号機66t/秒垂れ流していったのである、その量は累計で琵琶湖の水量275億トンの1.7倍にも達する。1.2.3号機のそれぞれの臨界から営業運転時とスケソウダラの漁獲量を照らし合わせると営業運転の翌年にいずれも大きな漁獲量の減少となっている。(表2)

一般的に海水魚は温度適応範囲が狭く水温の変化に敏感に反応し生理や行動が水温に規制されることが多いとされている。温度変化に敏感であるということは温排水が魚類の回遊や移動に影響を及ぼす可能性は否定できないのである。日本の原発54基(2011年3月11日現在)のうち33基が日本海、東シナ海に面している。また、同じ日本海に面している韓国の原発は震災後も稼働中である。日本海は狭い海峡で外洋と連結しているのみなので原発から出される温排水の影響からは逃れられない。

レジームシフト(大気―海洋―海洋生態系から構成される地球構造の基本構造の転換)が起こったのかもしれないし、またや漁獲制限のTAC制度の影響もあるかもしれないが、3~5℃の冷水温を産卵適温とするスケソウダラに対して、温排水の垂れ流しは大きな影響を与えることは容易に予測できる。これまでの産卵していた水深200mよりもっと深いところで産卵するようになっていき、あるいは産卵場所をかえていった可能性もある。資源量の減少もあってスケソウダラの漁獲量は激減して行った。漁協の組合員も漁業を廃業し、また漁業関連で働いていたひとたちも、原発関連下請け企業にいくようになっていった。

一方、岩内町の海岸の南隣に位置する、寿都町、島牧村は漁業を基幹産業と位置付け、栽培漁業を推進するなど、地場産業の育成に努めており、漁獲量は2010年/1982年で寿都町は2.3倍、島牧村は1.5倍に対して岩内町は0.16倍に過ぎなくなっている。(表1)
このことから言えることは、原発産業が自然環境を破壊し、地場産業の漁業および関連産業を衰退させ、そして地元の人間を原発に取り込み、ものを言えなくさせていった構造である。地元の資源を確認し、それを生かしていき、産業として生業させていく力、いわゆる「地元力」を原発は殺いでいったのである。
参考「泊発電所における地元活用について――北海道電力資料より」(別紙1)

放射線治療の専門家で3月まで北海道がんセンター院長であった西尾正道氏は、北海道の標準化死亡比のデータで泊原発がある泊村のがん死亡率が高いことを指摘している。北海道知事が主務官庁となっている北海道健康づくり財団が報告した道内のがん死亡率SMR(標準化死亡比)は、泊村のがん死亡率は断トツに高く、2番目が隣町の岩内町となっている。泊村は10万人当たり2450人であり中間値の1120人の2倍以上のがん死亡者数となっている。泊原発の現地と言われる地域でがんでの死亡率が異常に高いのである。
事故が起こらなくても原発から恒常的に放射性物質は排出されており、また原発で働く労働者も被曝は免れないのである。定期点検時ともなると被曝する割合は高くなる。
しかしながら、異常ともいえる泊村のがん死亡率の高さが泊原発によるものであることの因果関係を証明することは大変難しい。

福島第一原発事故による放射能の影響がこれから子どもたちを中心に現れることが危惧される。子どもたちの未来を脅かしている。
これまで原発現地と言われてきた地元は、これまでも二つの不安を抱えてきた。一つは危険な原発を目の前にして生活している不安であり、もう一方の不安は原発マネーに組み込まれている地域経済が廃炉となることによって崩壊し雇用の場の喪失による生活の不安である。この不安の元凶は原発である。

原発産業は地元経済に雇用の場を拡大してきた、スケソウダラの漁獲量の減少は地球温暖化の影響で温排水を原因とする確証はない、泊村と岩内町のがん死亡率が高いのは同じ現地の共和町、神恵内村は高くないので原発が原因とはいえない、このように北海道電力は主張するでしょう。

“確かな証拠がない” ことを “影響がない” ことにすり替えてきた歴史がフクシマ事故を引き起こしたのである。

ひとたび事故が起きれば、そこに存在している全ての生命、環境を破壊して行くこのことをフクシマは改めて私たちに突きつけてきた。使用済核燃料、放射性廃棄物の処理方法もないなかで、これ以上 未来に負の遺産を背負させることを強制してはならない。原発そのものによって、これからも連綿と続いていく生命の営みを保証する、自然を対象とした生命の生業=農業・漁業を放射能で汚染させることはこれ以上してはならない、させてならない。未来を保障する責任が私たちにはある。すべての原発を廃炉にすべきである。

ちなみに昨年5月から3号機が定期点検に入りすべての泊原発が運転を停止した。そして、温排水が排出されていない現在、今年のスケソウダラ漁は昨年同期と比較して1.5倍の水揚量となっている。(表4)



註1:

泊原発はその計画当時、岩内郡共和町と古宇郡泊村にまたがって建設が進められていた。しかし、発足(はったり)断層の存在、原発建設に絶対反対の立場をとる岩内郡漁協の漁業権の主張、建設資材の運輸につかう道路予定地の反対派による買い占めなどの理由で、建設予定地をすべて泊村に移した経緯がある。

意見陳述書 別紙

(1) 近隣町村の漁獲量・金額比較
(2) 岩内町スケトウタラ漁の推移
(3) 泊発電所における従業員の地元活用について
(4) スケトウタラ漁の推移

★☆★☆★☆★☆ あおぞらUST放送
<テントひろばから~/Tent Color>
日本で海外で脱原発 ★☆★☆★☆★☆

2013年 4月 26日(金曜日)16時~

あおぞら放送「テントひろばから~」第31回(2013/4/26)4/26のアーカイブ
http://www.ustream.tv/recorded/31977361

視聴アドレス http://www.ustream.tv/channel/tentcolor
(実況放映後のものは全てアーカイブでご覧になれます。)

  1. 「反原発でいこう」(20分)
    新潟県柏崎市の市議会議員で、柏崎刈羽原発反対同盟にかかわる矢部忠夫さんに、これまでの活動と現在の地元での運動、またこれからのことについてお伺いします。
  2. 「国内外の原発事情」(30分)
    ・ふくろうの会の阪上武さんに大飯原発3・4号機差し止め訴訟の不当判決についてお聞きします。
    ・富山でガレキ受け入れを阻止したところ、告訴されてしまったお母さんたちがいます。彼たちを支援する「池多の未来を守る会」代表の中山郁子さんから、これまでの経緯と、支援のあり方についてお聞きします。
  3. 「テントひろば 通りすがり」(5分)
    テントに立ち寄った人たちに一言インタビュー。

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星の金貨Blog 2013年4月26日 より

【 原発撤退の遅れ、それは国家的危機に直結する 】
フランス国立研究機関が警告、原子力業界の人材枯渇による危険増は避けられない

アメリカNBCニュース(フランス・トゥルヌミール) 4月23日

http://kobajun.chips.jp/?p=10770

「熟練した技術者の引退が相次ぎ、若年の技術者が原子力発電という将来性の無い分野に進みたがらないことを考慮すれば、原子力発電からの撤退に時間をかけ過ぎること、あるいは撤退そのものをためらうことは、国家の将来にとってきわめて危険なものになり得る。」
フランス国立の原子安全研究所がこのように発表しました。「もしフランスが原子力発電からの撤退を決定するのであれば、そのやり方はドイツを見習い、迅速にそれを決定・実行する必要がある。
仮にももし継続を決定するようなことになれば、将来原子力発電は、それを扱う能力・資格に欠ける人間たちによって( つづきを読む

NBC News 原文

Slow is scary if France quits nuclear : state institute
By Marion Douet
http://www.nbcnews.com/id/51633044#.UXdtV0r0cnU

ピープルズニュース 2013/4/22更新

モンゴルで「核廃棄物処理場建設」秘密構想ウラン開発とセット
http://www.jimmin.com/htmldoc/1477801.htm

安倍首相モンゴル訪問3/30に反核団体抗議活動
今岡良子さん(大阪大学言語文化研究科准教授)インタビュー
3月30日、モンゴル政府庁舎前では、「ウランは掘らん」「ウランは売らん」「私たちは福島市民と連帯します」の横断幕を掲げた反核運動家が、訪問中の安倍首相を迎えた。エルベグドルジ大統領との首脳会談のためモンゴルを訪問した安倍首相の車は、ゆっくり横断幕を見ながら政府庁舎に入っていったという。

日本の首相のモンゴル訪問は、2006年の小泉首相以来7年ぶり。この日、両首脳は経済連携協定(EPA)交渉加速に合意。石炭など鉱物資源や環境分野での協力を発展させることや、安全保障分野の関係強化も確認したと発表された。

しかし、「発表されない重要テーマがあった」と語るのは、今岡良子さん(つづきを読む)

アジア脱原発のカギを握るモンゴル
3つの黒点をもった日本とモンゴル

(原子力規制を監視する市民の会 HPより)

4/24に開催されたセミナー(みんなで学ぼう!原発・新規制基準案のパブコメのポイント)の、配布資料が掲載されました。
以下、見出しのみ書き出します。全文は市民の会HPをご参照ください。

◆前回の自分が出したパブコメの回答状況をチェック

◆3,400頁もあるパブコメ文書、わかりづらい! 規制庁と会合をもち、疑問をぶつけました。
下記がその報告です。パブコメ出す方、必読。

◆パブコメ対象文書、重要なものをピックアップ!

◆今回、先送りされ、規制基準に盛り込まれなかったのは下記の事項・対策です。

◆大飯原発3・4号機については、(まだ新規制基準が決まっていないのに)現在、新規制基準の骨子に沿って適合するかどうかの確認が行われています。
そのこと自体が、怒!ですが、先行的に審査が行われていることになるので、関電の都合のようい解釈については、パブコメに「だめよ」と意見を書いてしまいましょう。

**********
★セミナーの実況中継ツイートを下記にまとめました★
http://togetter.com/li/492859

★セミナーのポイント★
○とにかく、パブコメを出すこと。前回出したパブコメで反映されていないものは、規制庁に反論する形で再度出す。

○「5年猶予」は「附則」につけることになる。規制庁は、「パブコメとして意見をだしてくれ」とのこと。

○「5年猶予」については、検討チームできちんと議論されていない。なぜ猶予するかも不明。なぜ5年かも不明。

○設計基準部分は従来と同じ単一故障の仮定しかしていない。共通原因故障に関しても対応されるべき。

○放射性物質の放出量の制限は、安全目標にあわせて、セシウム137で100テラベクレル/1万炉年。しかしこのことはパブコメ対象文書には書いていない。
・立地審査指針の敷地境界線における線量基準は用いないが、それでよいか? 
・セシウム137だけでよいのか?

○原子炉水位計、逃し安全弁に関する規制要求を先送りにしてしまっているが、これは即座に要求するべき対策。

○事故シーケンスを求めるのは内部事象だけとなっている。地震・津波・テロなどの外部事象については求めていない。外部事象についても、事故シーケンスを求めるべき。

○新規制基準の適合評価について。大飯原発3・4号機に関して関西電力が資料を提出し、これにもとづき規制委員会が確認を行っています。しかし、「6月末までに完了予定の対策」も含めて、適合していると、都合のよい評価となっています。ぜひご一読の上、コメントを!

[このイベントは終了しました]

柏崎刈羽原発の見学と地元交流会
5月18日(土)~19日(日) 柏崎刈羽現地バスツアーのお知らせ

お申込みはお電話で。★締切りを延長しました★ 5月7日(火)まで
電話 070-6650-5549(再稼働阻止全国ネット・柏崎刈羽担当) または 03-3238-9035(たんぽぽ舎気付)

  • 日程 5月18日(土)~19日(日)<1泊2日>
  • 集合 5月18日(土)あさ8時 新宿駅西口 スバルビル前集合 8時15分出発
       (時間厳守でおねがいします)
  • 費用(お一人) 15,000円(バス代・宿泊代・夕食・朝食・交流会費・旅行保険代 含)
  • 定員 80名
  • 内容
     柏崎刈羽原発の見学、地元3団体との交流会と共同行動(ビラ配布、街頭での宣伝活動など)、
     地元の女性たちとの談話会(調整中) ほか
  • 主催 再稼働阻止全国ネットワーク

★事前学習会「東電-柏崎刈羽原発の現況と歴史を知る」を開催します。ツアーご希望者はぜひご参加ください。関心のある方どなたも参加歓迎。
4月9日(月)19時から  於・スペースたんぽぽ  参加費800円
<このイベントは終了いたしました>
http://saikadososhinet.sakura.ne.jp/ss/archives/1925


柏崎刈羽原発 周辺地図

JanJanBlogより 書評を紹介します 2013年 4月 11日 22:54

『原発事故の起きる日 緊急避難はできるだろうか』 (著 上岡直見(環境経済研究所))
http://www.janjanblog.com/archives/94678

【山本定明・淡川典子『原発事故の起きる日 緊急避難はできるだろうか』技術と人間,ISBN:4-7645-0087-6・旧刊であるが現在もネット書店で入手可能】

 新刊ではなく1992年の刊行であるが、あえて紹介した理由は現在でもその内容が通用するからである。カバーに「スリーマイル島、チェルノブイリ…つぎは日本の原発が危ないと、囁かれている。事故が現実となったとき、果たして市民は逃げられるか?アメリカ、カナダ、日本の避難計画を比較しながら、原発事故が起きたときの惨状を考える」と紹介文がある。

 そして当時の原子力防災対策を検討し、過酷事故の際に住民の円滑・迅速な避難は困難と指摘している。それから20年、何の進展もないまま福島原発事故を迎え、本書で予測されていたとおり( つづきを読む


上岡直見記者のプロフィール
JanJanニュース創立から参加している。交通政策・環境政策がテーマ。「政治談議」でなく論理と数字で評価することを重視。