新潟日報 社説(5月12日) 2013/05/13
原発輸出 前のめり過ぎはしないか
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20130513042370.html
安全への不信感は解消されていないのに、前のめり過ぎはしないか。
安倍晋三首相とトルコのエルドアン首相が、日本の原発輸出を可能にする「原子力協定」を締結することで合意し、署名した。
東京電力福島第1原発の事故後、官民連携による原発輸出が具体化するのは初めてである。原発ビジネスを成長戦略の柱の一つとして位置づけると同時に、原子力産業の技術や人材を維持していくのが目的だ。過去最大となった貿易赤字を縮小させる狙いもあろう。(中略)
だが、国が関与することによるリスクは少なくないだろう。
深刻な事態が起きれば、国に賠償責任が生じる可能性があるからだ。それは国民負担につながる。
輸出には、福島事故を教訓とした極めて高い安全技術の提供が大前提となることを肝に銘じるべきだ。(中略)平和利用を前提としている原子力協定は、核物質と関連技術の軍事転用を禁止し、第三国への移転も規制している。
しかし、原発保有国が増加すれば、それだけ核拡散の恐れが高まることは間違いない。世界で唯一の被爆国として、軍事転用をどうやって防止していくのか。管理体制の在り方も問われることを忘れてはならない。