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河北新報 2014年09月27日土曜日
規制委発足2年/理念実現に向け原点に返れ
http://www.kahoku.co.jp/editorial/20140927_01.html

 原発の再稼働に向けた技術的な審査だけを求められているわけではない。それも重要な業務に違いないが、国民が期待したのは、原子力に対する確かな規制を通じ、人と環境を守るという理念の実現だったはずだ。

 原子力規制委員会が19日で発足2年を迎えた。
 前身の原子力安全・保安院が、「電力事業者のとりこになった」(国会事故調査委員会)反省から、規制機関としての独立性や専門性、中立性や透明性を掲げて設置された組織である。
 昨年6月には、原発の再稼働に必要となる新たな規制基準を策定。大規模災害やテロなどの過酷事故に対し、「世界一厳しい」(田中俊一委員長)ハードルを設けた。事業者と規制行政の担当者が公開の場で議論する審査会の形式は評価できよう。

 見解が対立する事業者に次々と追加データを求めたり、原発立地自治体の長や政治家との面会を避けたりする規制委の姿勢を、原発推進側は「独立性を重視するあまり、孤立、独善に陥っている」と痛烈に批判する。だがそれも、規制委が組織の成り立ちを意識した運営に注力してきた証しとも取れる。

 一方で、福島第1原発の廃炉作業を監視する立場でありながら、汚染水問題への対応が後手に回るなど、原発再稼働に向けたハード面の検証以外で存在感を十分発揮したとは言い難い。

 福島第1原発の事故で分かったのは、一度コントロールが外れれば手に負えなくなる原発の恐ろしさだ。事故が起こる前提に立った事故収束対応や、警察、自衛隊等との連携、緻密なデータに基づく被ばく住民の避難誘導や支援体制の整備など、幅広い安心・安全の方向付けにおいても、規制委の指導力が求められる。人材育成を柱とした原子力規制庁の体制強化と併せ、今後の課題だろう。

 規制委は10日、九州電力川内原発に対し、初めて新基準への適合を認定した。しかし、米国では稼働の条件になっている周辺住民の避難計画については審査対象になっていない。法にのっとった対応とはいえ、避難基準の指針を示しただけで、具体的な計画づくりは自治体任せというのは無責任ではないか。
 政府が自治体の避難計画作成への関与を強めたとはいえ、実効性が担保されたことにはならない。住民の不安を緩和し新基準への信頼感を増すためにも、政府は避難計画の整備を規制委の審査項目に加えるべきだ。

 規制委の発足2年に合わせ、委員人事が行われた。原発推進の立場を取る元日本原子力学会長の就任と、活断層調査で事業者に厳しい立場を貫いてきた委員の退任だ。政府や電力事業者の意向に沿った人事といえ、規制委の存立基盤を揺るがしかねない。今後、原発再稼働に向けた審査の加速化を求める圧力が強まることも予想される。

 規制委に求められるのは、原子力安全規制のプロとしての自覚と誇りだ。なお続く福島第1原発事故の惨状を踏まえ、いま一度原点に立ち返ってほしい。

(週刊朝日 2014年10月03日号配信掲載)(2014年9月24日(水)配信 nifty news)

「原発震災」を予言した地震学者 石橋克彦氏が告発
「川内原発再稼働の審査書決定は無効だ!」
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20140924-02/1.htm

九州電力の川内原発(鹿児島県)が再稼働に向けて急ピッチで動き始めた。審査書を原子力規制委員会が正式決定し、政府は再稼働を進めるという文書を交付した。だが、「原発震災」を早くから警告してきた地震学者の石橋克彦・神戸大学名誉教授は、審査書は無効だと訴える。

 これまで川内原発の審査書に対する批判は、火山噴火が軽視されているとか、避難計画が不十分であるとかが大半でした。しかし、地震に関して重大なことが見過ごされています。

 福島原発事故の反省に立って原子力規制行政が抜本的に改められ、国民の不安と不信を払拭(ふっしょく)すべく新規制基準が作られたはずです。全国初となる川内原発の審査書は、その試金石です。

 ところが、新基準自体の欠陥は脇に置くとしても、新基準のもとで規制委員会がきちんと審査したかというと、実はそれが驚くほどいい加減なのです。

 九州電力の申請書は9月10日、規制委員会によって「新規制基準に適合する」と認められた。12日には政府が再稼働を進めることを明記した文書を、上田隆之・資源エネルギー庁長官が鹿児島県の伊藤祐一郎知事と同県薩摩川内市の岩切秀雄市長に手渡した。政府のお墨付きを得たことで、九電は再稼働に向けた準備を着々と進めていくことになる。

 だが、石橋氏は月刊誌「科学」9月号に、そもそもの審査がおかしいと批判する論文を発表した。どういうことなのか。

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 一言でいうならば、耐震設計の基準とする揺れ=「基準地震動」を策定する手続きが規則で決められているのに、それを飛ばしているのです。これは基準地震動の過小評価につながり、法令違反とさえ言えます。

 原発の安全上重要な施設は、基準地震動に対して無事であることが求められています。そのため、「内陸地殻内地震」「プレート間地震」「海洋プレート内地震」について、敷地に大きな影響を与えると予想される地震を複数選び、それらによる地震動を検討することになっています。

 しかし九電は、活断層による内陸地殻内地震しか検討しませんでした。プレート間地震と海洋プレート内地震については、揺れは震度5弱に達せず、原発に大きな影響を与えないとして無視したのです。

 実は、けっしてそうは言い切れません。地震学的に、具体的な懸念があるのです。ところが審査では、九電の言いなりにしてしまった。

 プレート間地震については、社会問題にもなっているように、内閣府の中央防災会議が駿河湾~日向灘にマグニチュード(M)9級の南海トラフ巨大地震を想定しています。そこでは、川内付近の予想最大震度は5弱に達しています。

 しかも、これは全体の傾向をみるための目安にすぎないので、特定地点の揺れは別途検討するように言われています。震源のモデルを安全側に想定すれば、川内では震度6になるかもしれません。

● ● ●
 海洋プレート内地震については、九州内陸のやや深いところで発生する「スラブ内地震」が重要です。「スラブ」というのは、地下深部に沈み込んだ海洋プレートのことです。

 1909年に宮崎県西部の深さ約150キロで推定M7.6のスラブ内地震が起こり、宮崎、鹿児島、大分、佐賀で震度5を記録して各地に被害が生じました。

 スラブは鹿児島県の地下にも存在しますから、もっと川内に近いところのスラブ内大地震を想定すべきです。そうすれば川内原発は震度6程度の揺れを受ける恐れもあります。

 基準地震動は1万~10万年に1度くらいしか起きない地震を想定すべきものです。だからプレート間巨大地震とスラブ内大地震も検討する必要があるのに、九電も審査側も、規則を無視して「手抜き」をした。

 九電は、内陸地殻内地震による基準地震動については、原発から少し離れた活断層で起こるM7.2~7.5の地震を想定して、最大加速度540ガル(加速度の単位)としました。

 南海トラフ巨大地震とスラブ内地震では、この値を超えるかもしれません。前者については、九電は免震重要棟のために長周期地震動をいちおう検討しましたが、内閣府の震源モデルの一部をつまみ食いしただけの不十分なものです。

 仮に最大加速度が540ガルより小さかったとしても、プレート間地震とスラブ内地震は活断層地震とは非常に違った揺れ方をするので、基準地震動を策定して重要施設の耐震安全性をチェックすべきです。

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杜撰審査続けば 再び原発震災も

 川内原発の基準地震動は620ガルとよく言われますが、これは直下で震源不詳のM6.1の地震が起きた場合の想定最大加速度です。しかし、活断層がなくてもM7程度までの大地震は起こりうるので、これは明らかに過小評価です。

 2007年新潟県中越沖地震(M6.8)では東京電力柏崎刈羽原発の1号機の岩盤で1699ガルを記録しました。地震の想定と地震動の計算の不確かさを考えれば、最低その程度の基準地震動にすべきです。

 しかし、そういう技術的な話とは別に、規則に定められた手続きを飛ばしたのは、「耐震偽装」ともいえる大問題でしょう。

 川内原発の審査書を決定する前に、規制委員会は7~8月に審査書案への意見(パブリックコメント)を募った。その結果、全国から1万7千件余りの意見が寄せられた。

 実は石橋氏も、前述のような意見を提出して、審査に過誤があり結果的に規則に違反していると指摘した。だが規制委員会が公表した文書では、この意見に対する回答として〈申請者は、プレート間地震及び海洋プレート内地震については、(中略)敷地に大きな影響を与える地震ではないと考えられることから、検討用地震として選定していません〉という「考え方」が示されただけだ。

 石橋氏は憤る。

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これでは規制委員会は九電の代弁者にすぎません。まるで“子供の使い”です。審査メンバーに地震がわかっていて真剣に考える人がいないか、再稼働路線に屈服したかでしょう。

 石橋氏といえば、東大助手だった76年に東海地震の可能性を指摘し、社会現象にもなった。97年からは「原発震災」という言葉を使って大地震による原発事故の危険性を訴え続け、11年の東日本大震災でその正しさが図らずも実証された。

 その石橋氏が、今はこう警告する。

 これほど杜撰(ずさん)な審査なのですから、無効にしてやり直すべきです。これが前例になって手抜き審査が続けば、第二の原発震災を招きかねません。

構成 本誌・藤村かおり

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いしばし・かつひこ 1944年生まれ。神戸大学名誉教授。専門は地震学、歴史地震学。『大地動乱の時代─地震学者は警告する』『原発震災─警鐘の軌跡』など著書多数。近著は『南海トラフ巨大地震』(岩波書店)。

日刊ゲンダイ 2014年9月8日
注目の人 直撃インタビュー

福島原発告訴団の河合弘之弁護士「日本が滅ぶのは戦争と原発」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153151
世界で一番、原発を稼働させてはいけない国

「安倍首相は亡国の政治家です」――福島原発告訴団の先頭に立って闘う弁護士は言い切った。検察審査会は7月、東京電力元幹部3人の刑事責任を認めて、「起訴相当」の議決を下した。これを受けて検察は再捜査し、起訴すべきかを再検討する。もう一度、不起訴としても、検察審査会が再度、「起訴相当」の議決をすれば、強制起訴という運びになる。この議決の意味、今後の展開、原発再稼働に突き進む安倍政権の横暴など、多岐にわたって聞いてみた。

――検察審査会の議決、画期的ですよね。

 私は非常に感動しました。あれだけの事故を起こしながら、誰も責任を問われない。追及されないのはおかしいじゃないか、という市民感覚が、大企業寄り、権力寄りの検察の判断を覆したわけです。

――検察は大企業寄り、権力寄りですか?

 そもそも検察がなぜ、東電幹部の刑事責任を問わず、不起訴にしたかといえば、やはり身内のかばい合いみたいなものがあると思う。東電は超巨大企業で権力そのもの。原子力ムラの中核ですから、起訴するのはマズイという、悪い意味での政治判断があったと思います。そこから出発していろいろな理屈をつくった。それで、津波の予見可能性がなかったということにしたのでしょうね。

――政府の地震調査研究推進本部は02年、福島県の津波地震の可能性を発表していたし、東電も08年、最悪の場合、津波水位が15・7メートルになると試算していました。

 そもそも、予見可能性がないのであれば、どんなに被害が大きくても、責任は問えないという検察の考え方が間違っています。まず被害の大きさを見て、それを防ぐためにどれくらいの注意義務を課すべきか。これを考えなければいけない。原発の運営責任者は、普通よりもずっと重い注意義務を課されるべきなのに、検察は花火工場と原発の注意義務を同じ目で見ている。花火工場が爆発しても周辺が少し壊れるだけですが、原発は違う。検察はこうした常識をわきまえるべきです。

――検察の再捜査についてはどう見ていますか?

 検察内部でも意見が二分されていると聞いています。今度の議決には検察内部でも非常に大きな衝撃が走っていると思います。私は検察が起訴に踏み切る可能性もかなり大きいとみています。検察は信頼を取り戻すためにも、国民の支持を得るためにも、起訴すべきだ。そういう意見が内部でもあると聞いています。

――そうならなければ、国民の生命よりも原子力ムラと政府の利益が優先することになってしまう。これほどおかしな話はありませんね。

 私は二十数年前から反原発で闘っている。なぜ原発に反対するのかというと、日本は中規模以上の地震発生率が世界平均の130倍もあるんですよ。フランスやドイツにも原発はあるが地震はない。世界で最も原発が立ち並ぶのは米国の東海岸ですが、ここにも地震はない。地震が多い地域で原発を稼働させているのは日本だけです。裏を返すと、日本こそが世界中で一番、原発を稼働させてはいけない国なんです。

凍土壁もできないのにウソばかり言う安倍首相

――しかし、政府は原発がないと経済が成り立たないみたいなことを言う。

 震災後、日本は停電になると言われましたがウソでした。日本の水力、火力発電の設備能力を見れば、原発をゼロにしても火力の稼働率を50%から70%に引き上げるだけで十分、賄えるのです。で、最近では停電するぞ、という脅しは言わなくなった。その次に何を言っているかというと、原発を止めたことで、3兆6000億円の化石燃料の輸入代金が増加している。だから、国富が流出するというものですが、円安と化石燃料の価格上昇が輸入代金を押し上げているわけで、実際は1兆5000億円程度だし、輸入量自体は原発が止まった後もほとんど変わっていないのです。日本はGDPが600兆円あり、国富は3000兆円ある。海外資産も300兆円あります。年間1・5兆円が流出したところで、日本経済を揺るがすようなことにはなりません。CO2対策というのもひどい話で、CO2で国は滅びますか。日本だけ取り組んだって米国や中国が協力しなければ意味がありません。原発は違いますよ。日本だけの判断で止められるし、国民の生命を守るためにリスクを回避できるのです。

――政府は世界最高の安全基準だとか言っていますね。だから、それをクリアすれば、再稼働していいのだと。

 世界最高基準というのはウソ。そんなことを言っているのは安倍さんだけで、世界中の誰も認めていません。原子力規制委員会の田中俊一委員長だって、世界一ではない、あれは単なる政治的発言でしょうという趣旨のことを言っています。核燃料の再処理にも失敗しているし、こうなると、原発を続ける理屈はありませんね。

――それでも日本はなぜ、原発をやめないのでしょうか。

 原子力ムラが儲かるからです。電力会社はかかった原価の約103%を総括原価方式で電気代に転嫁できる。電力会社は気前のいい注文主なんです。だから、みんなひれ伏す。発電機メーカーも鉄鋼も商社もマスコミも。そこに無数の下請けと無数の労働者がいる。都合のいい意見を言う御用学者もいる。電力会社から研究費をもらえて、彼らが学生の就職の世話もしてくれるからです。政治家は献金をもらい、電力労組からは票が来る。国は電源三法交付金でカネをばらまき、自治体は言うがまま。つまり、お金の回し合いをやっているわけです。花見酒をして、飲めや歌えやとやっているようなものです。その酒はどこから来るのか。国民が払った税金と電気料金ですよ。

――その構造が3・11以後も全く変わっていないのが驚きです。

 裁判所の意識は変わってきたなと思いますが、この利権構造は岩盤です。依然として強大で今、再稼働、再稼働と巻き返しを図っている。その先頭に立っているのが安倍政権ですよ。私は安倍さんというのはウソつきだと思っている。汚染水の問題で、「アンダーコントロール」と言い切ったが、明らかなウソです。今だって毎日漏れて、凍土壁もできない。何がアンダーコントロールなんですか。そういうことをヌケヌケと言う。ウソツキ政治家です。世界最高の安全基準というのもウソ。わざと言っているのか、頭が悪くて知らないで言っているのか分かりませんけれど。

――そんな安倍政権が高い支持率を得て、イケイケです。

 私は仮に日本が滅びるとすれば、それは戦争と原発事故しかないと思う。自然災害や財政破綻は絶対立ち直ることができる。阪神淡路大地震でも、その後、被災地は前よりもきれいになった。東北も原発事故の影響を受けていないところは必ず立ち直ります。しかし、原発事故は違うのです。戦争と原発という一番危険な2つのことを推進しているのが安倍政権です。ヘタしたら国を滅ぼす。彼は亡国の政治家だと思います。歴史が判断しますよ。

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▽かわい・ひろゆき 1944年生まれ、弁護士。東大法卒。さくら共同法律事務所所長。中国残留孤児の国籍取得を支援する会会長。NPO法人環境エネルギー政策研究所監事、浜岡原発差止訴訟弁護団長、大間原発差止訴訟弁護団共同代表。

原発の動かない夏 節電・電力供給の未来について考える
EconomicNews 2014年08月03日 15:37

 今年、日本列島は東日本大震災以後初めて、原発稼働ゼロの夏を迎えている。

 多くの国民が原発の安全性を疑問視する中、政府は原発再稼働の方向へ進んでいる。一方で、連日続く猛暑に熱中症で亡くなる方も増え、テレビからは「適切な冷房の使用を!」という声は聞こえても、「節電を!」という声は3年前の夏のようには聞こえなくなった。実際に原発に依存しなくても本当に電力は供給できるのか?節電はどこまで必要なのか?今一度国民みんなが考えるべき時期なのではないだろうか。
(つづきを読む)

日刊ゲンダイ 2014年7月8日
「元原発技術者が伝えたいほんとうの怖さ」小倉志郎著

大学卒業後、原発メーカーの社員として発電所の建設・保守点検にたずさわってきた著者。定年後の2002年から原発をめぐる懐疑論を発表し始め、いまや反原発論者の代表格だ。著者によると新しい原発のほうが古いものより危険性が高い。

 企業にとってコストダウンは最重要課題。しかもコンピューターの発達で、昔は複雑すぎた構造計算も容易になった。ゆえに隔壁や配管、建屋ならコンクリートの厚さや鉄筋の層数まで減らされているからだ。定年前、毎日のように建屋の中をパトロールに歩いた経験から、原発は「怪物」という。本社のオフィスにいる幹部はこの怪物の実態がわかっていないのである。

(彩流社 1700円)

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/151672

彩流社 四六判 / 206ページ / 上製
定価:1,700円 + 税

http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-1980-4.html

Reuters インタビュー:原子力規制委の審査「厳正でない」=元安全委技術参与
2014年 07月 28日 16:33 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FX0HJ20140728?sp=true

原子力規制員会の新規制基準審査に合格し、再稼働に向け動き出した九州電力川内原発(鹿児島県)について、旧原子力安全委員会で技術参与を務めた滝谷紘一氏(71)は、ロイターのインタビューで、「(規制委は)科学的、技術的に厳正な審査をやっていない。政治や産業界からの要請に応えるべきということが支配しているのでは」と、批判の声を上げた。

滝谷氏は、川崎重工業の原子力研究開発関連部門で長年、技術者として勤務し、高速増殖炉「もんじゅ」のプロジェクトにも出向。旧安全委(2012年9月廃止、原子力規制委員会に移行)には、茨城県東海村JCO臨界事故(1999年)を機に民間技術者として加わり、2000年から08年まで技術参与を務めた。

引退後に発生した東京電力福島第1原発事故を受け、「贖罪の思いで」(滝谷氏)で原子力に批判的な有識者グループに加わった。同氏は、川内原発の重大事故対策が「基準に適合している」とした規制委の審査書案には多数の疑問点があるとし、連携する専門家らとともに、規制委に意見を出す構えだ。

インタビューの主なやり取りは次の通り。

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Reuters 2014年 07月 16日 17:34 JST
UPDATE 2-川内原発は「基準に適合」と規制委、審査最終合格に前進

[東京 16日 ロイター] – 原子力規制委員会は16日の定例会合で、九州電力 川内原発1、2号機の審査で、地震・津波などの自然災害や重大事故に対応できる安全性を要求する新規制基準に「適合していると認められる」とする審査書案を提示し、了承した。昨年7月に始まった新規制基準適合性審査で、川内原発が初となる最終合格へ大きく前進した。

<政府と県は再稼動に前向き、周辺自治体からは反対も>

安倍晋三政権は、原子力規制委が規制基準への適合性が確認され、地元の合意が得られた原発は再稼動させる方針。鹿児島県の伊藤祐一郎知事は地元の範囲について「県と薩摩川内市、首長と議会」との見解を示しており、4者はいずれも賛成する見通しだ。

ただ、川内原発の再稼動をにらみ、鹿児島県や立地周辺自治体が策定した防災・避難計画の内容は「実際に事故が起きても役に立たない」との批判が噴出している。

薩摩川内市に隣接するいちき串木野市では「市民の生命を守る再稼動に反対する」との署名活動が5月から始まり、約3万人の市人口の半分を超える1万5464人の署名が集まった。
また、市内の一部が30キロ圏に入る姶良(あいら)市議会も再稼動に反対する姿勢を鮮明にしている。

13日投開票の滋賀県知事選では、自民・公明の与党推薦候補が敗れ、「卒原発」を掲げた嘉田由紀子前知事の後継指名を受けた前民主党衆院議員の三日月大造氏が勝利するなど、原発に対する国民の批判は根強い。安倍政権は再稼動に前向きだが、強引な手法で再稼動を進めれば、国民の反発を招くおそれも否定できず、周辺自治体や住民の反応次第では、再稼動の時期が流動的になる可能性も残る。

<最終合格は秋以降の公算>

川内原発で、新規制基準への適合性が認められたのは、安全性に関する基本設計・方針に関する項目が対象だ。規制委は審査書案に対して今後、1カ月間にわたり意見を公募。その内容を踏まえて修正する期間を考慮すると、審査書案が正式決定するのは、9月以降となる

また、川内原発が最終的に審査に合格するまでには、機器類の詳細確認や運転管理体制に関する審査が残っており、この部分の審査も2カ月程度の期間を要するとみられる。

九電は、機器類などの審査に必要な書類の提出は8月以降になると示唆しており、最終的な審査合格は、秋以降にずれ込むのが確実だ。

<規制基準、世界最高レベルには疑問の声>

東京電力 福島第1原発事故(2011年3月発生)の反省に基づき、昨年7月に原子力規制委が策定した新規制基準では、地震や津波対策の強化を求めたほか、原子炉格納容器の破損防止など重大事故対策の要求などを盛り込んだ。規制委の田中俊一委員長は、規制基準の厳しさについて「世界最高レベル」と公言している。

田中委員長は16日の定例会合後に記者会見し、「シビアアクシデント(過酷事故)のハード・ソフト面の強化をきちんとやり、自然災害についても十分に検討した。これで十分と言うつもりはないが、相当慎重に評価をしてきた」と述べた。

昨年7月に始まった審査会合では、地震・津波対策に関する審査を担当した規制委の島崎邦彦委員長代理が、関西電力 など九電と同時期に審査を申請した事業者に対して、地震想定について厳しい姿勢で臨んだことも影響し、審査開始当初では半年程度見られていた審査期間は、1年を超えることになった。

川内原発の審査でも規制委の指摘を反映して、九電は想定する最大の地震の揺れ(基準地震動)を申請時点の540ガルから620ガルに引き上げた。
一方で、田中委員長が主張する「世界最高レベル」という規制基準の厳格さについては、異論も聞かれる。

原子力に批判的な有識者が参加する「原子力市民委員会」(座長:船橋晴俊・法政大教授)が今年4月に発表した「原発ゼロ社会への道─市民がつくる脱原子力政策大綱」は、新規制基準について「世界最高水準にはほど遠い」と批判した。

具体的には、欧州で採用され、建設が進む欧州加圧水型原子炉(EPR)と比較し、1)EPRは、圧力容器外に流出した溶融炉心を格納容器内に貯留する「コアキャッチャー」を設置しているが、新基準は要求なし、2)EPRは、大型商用航空機衝突に耐え、設計圧力を高めた二重構造の格納容器の設置を求めているが、新基準は要求なし──など、日本基準が見劣りする点を挙げている。

内閣府原子力委員会の委員長代理を今年3月末まで務めた鈴木達治郎・長崎大学核兵器廃絶研究センター教授は、ロイターの取材に対し、規制基準への適合について「再稼動のための最低限の要求を満たしたことにすぎない。2つの重要な点が残されている」と指摘した。同教授は「住民に安全を保証するには避難計画の整備をしないといけない。また鹿児島県知事と薩摩川内市長は、再稼動に同意するためにも、規制当局と中央政府とも議論しないといけない」と述べた。

規制委の田中委員長は、立地周辺自治体が作る防災・避難計画に規制委が積極的に関与することを拒み続けている。16日の会見でも、避難計画への関与について、「規制委の(所管の)範囲外で、(適合性)審査の中では評価していない」と述べるなど、従来の消極姿勢を変えなかった。

<進むか後続審査>

川内原発のほか、規制委にはこれまでに12原発19基の審査申請があった。川内原発を含む、昨年7月に審査を申請した6原発12基はいずれも加圧水型原子炉(PWR)で、プラント自体の審査は共通点が多い。
規制委は3月、川内原発を他の原発に優先して審査を進めることを決めた。審査合格第1号を出すことで、後続審査を早める狙いもある。

田中委員長は16日の会見で後続審査が進展する可能性に言及。関電高浜原発3・4号機については「ほぼ論点が整理された」とし、九電玄海3・4号機についても「相当煮詰まった」と述べた。

高浜については審査のヤマ場である基準地震動が固まり、玄海も固まりつつあることで、川内原発に次いで審査合格が視野に入る可能性が出ている。
(浜田健太郎 取材協力:アーロン・シェルドリック)

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0PR0ZO20140716

Reuters 2014年 07月 16日 20:31 JST

川内原発、審査で安全性担保せず
http://jp.reuters.com/article/jp_energy/idJP2014071601001636

Reuters 2014年 07月 7日 19:28 JST
原発再稼働「できるわけがない」、推進論は完全に破たん=小泉元首相

[東京 7日 ロイター] – 即時原発ゼロを訴えてきた小泉純一郎元首相は7日、都内で講演し、原子力発電所推進の論理は完全に破たんしていると述べ、「今後も原発ゼロにする国づくりを一歩でも進めていく」と訴えた。

世界一厳しい安全基準だと政府が主張する再稼働基準に異論を唱え、「再稼働はできるわけがない」と反論した。

講演で小泉氏はあらためて、2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島原発の事故を契機に、「原発ゼロ」に舵を切ったことを説明。いまや「原発推進の論理は完全に破たんしている」と訴えた。

安全神話が「嘘」だったことは大事故で判明した。「他の電源に比べて原発コストは安い」との論も「嘘どころか一番の『金くい虫』だ」と反論。「被害の賠償。廃炉までには40年─50年かかること。安全対策。作業員の確保。最終処分場確保にいたってはいまだにない」と述べ、推進論がこれらをコストに入れない「甘さ」を追求した。

さらに小泉氏は「国民の税金投入なくして原発は成り立たない。しかも、この負担は、生きている人だけではなく、千年、万年の単位だ。こんな採算のとれない会社はやっていけないと考えるのが賢明な経営者だ」と糾弾した。

再稼働にあたって政府が「世界一厳しい安全基準」をもとに判断すると言及している点についても、「米国の原発は住民の避難路を確保していなければ認められない。日本で避難路を作っているところはあるか。ない。これひとつとっても、世界一厳しい安全基準なんて(信じがたい)」と述べ、「再稼働はできるわけがない」と語った。「今後も原発ゼロに向けての国民運動を展開していかなければならない」と訴えた。

<最終処分場、原発ゼロ決定後でなければ理解得られず>

最終処分場の選定について、「ゼロにすることを決定してからでなければ、国民の協力は得られない。再稼働し、これからまた核のゴミが増える段階で、処分場をつくるのに協力してほしいでは、住民の協力は得られない」とも語り、政治決断を行うにも「原発ゼロ」方針の明確化が不可欠だとの認識を示した。     (吉川裕子)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FC0VX20140707

「避難の権利」ブログ 2014年7月 3日 (木)
これでも再稼働?~川内原発の避難計画の問題点について

http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-5b76.html

【PDF版】

MONEYzine 6月23日(月) 8時0分配信  (ビジネスリサーチ・ジャパン)

東電、ナゾの「13年度黒字決算」の理由を探る 「原発停止で経営圧迫」は本当か
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140623-00000000-sh_mon-bus_all
■東電の決算、売上高も当期純利益もアップのナゾ

 東京電力の至上命題は「赤字回避」。10年度以降、4期連続で当期純利益の赤字(当期純損失)を計上すれば、金融機関の融資姿勢がより厳しくなるのは必至だったからだ。そのため、なりふり構わず黒字にしたというのが実情だ。

 13年度の売上高は電気料金の値上げもあり、期末ギリギリになって原発事故を起こした10年度と比較すると25%アップ。一方、人件費の削減、修繕工事の繰延べなどコスト削減を進めたことで燃料費の負担増をカバーし、営業利益を確保した。
 13年度の人件費総額(単体ベース)は、10年度比で20%に迫るダウン。そのため10年度には761万円、管理職を含めれば809万円だった従業員平均年間給与は大幅にダウン。社内取締役の平均年俸も3888万円から1414万円(13年度は執行役の平均)と、半減どころか3分の1に迫る減額である。

 修繕費は火力や原子力など電源関係と送変電など流通部門に分かれるが、両部門とも必要な修繕を絞り込んだようで総額は4割に近い削減だ。
 また、不動産や有価証券、関係会社株式など保有する資産を切り売りするなどして特別利益を確保し、営業利益を上回る当期純利益を計上。以上が東電の13年度決算の大まかな概要である。

■「見積もりができない部分は計上しない」で赤字回避

■交付金を資産計上 期日のズレで利益を確保

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