(地域の活動紹介)

中国電力は、島根原発2号機の適合性審査において、原子力規制委が基準地震動を確定(820ガルを妥当と判断)したことを受けて、建設中の「3号機」につても適合審査申請しようとしています。島根原発3号機は2011年の福島事故当時、総工事進捗率:93.6%(平成23年4月末)でした。

中国地方では、原発がすべて停止していても電力供給予備率は常に10%を上回っており、危険な原発を動かして、さらなる余剰電力を生む必要はまったくありません。無駄で危険な原発を動かさないためにも島根3号機の稼働を絶対にとめたいと思います。

原発の適合審査を受けるためには、立地周辺自治体による「運転開始に関する事前了解」が必要であり、中国電力はその申入れを進める段階にきており、この行為に対し、中国電力に抗議と手続き中止を要請しました。

以下は、中国電力に対する抗議文です


中国電力株式会社
代表取締役
社長執行役員 清水希茂様

抗 議 文

 去る#月#日、貴社は「島根原発3号機の運転開始に向けての新規制基準適合審査申請の事前了解に向けての手続き(以下、「事前了解手続き」と記す)」を始めた。
 2011年3月11日に発生した福島原発震災による避難者は、7年が経過した今日においても5万人を超えている。政府は強制的に帰還政策を進めているが、現在の放射線量の中で、帰還する人は僅かである。一方で子どもたちを中心に甲状腺がんは増え続け、これまでに194人が甲状腺がんを発病、159人が手術を受けたとされている。また、福島第一原発の廃炉に向けての道のりは、その工程も費用もまったく見通せない状況である。

 現在も原発事故の真相は明らかになっていない。原子力規制委員会は、島根原発と同型の沸騰水型原発である東京電力柏崎刈羽原発6,7号機を、新規制基準に適合しているとしたが、「適合審査項目に従い合格にしただけで,原発の安全が確保されたわけではない」と、責任逃れをしている。
 
 多くの国民は、圧倒的に原発は嫌だという声を発している。それはさまざまな世論調査によって明らかにされている。先日実施されたメディアでの世論調査でも、原発事故への「懸念」を持つ人が大半を占め、逆に「新基準で安全性が向上し、深刻な事故も起きない」は僅か5%である。

 島根原発では南側約2キロの場所に、東西に走る活断層「宍道(鹿島)断層」がある。かつて島根原発が最初に建設された時点では、貴社は「活断層は無い」と明言していた断層である。それをこの度39キロと認めた。これで十分だとしているようだが、断層の長さの評価の延長が相次いでいる貴社の態度からは、不信感だけである。この断層について私たちは、東に約6キロの地点から東方へ延びる鳥取沖西部断層(貴社の長さ評価約40キロ)と連動しているという懸念を持っている。さらに鳥取沖東部断層も含めて連動を考慮すれば、およそ140kmもの長大な活断層となる可能性がある。

また、再処理工場の稼働や核のごみの処分さえ見通しの立たない中、新たな3号機の稼働は、処分の困難な使用済核燃料を増加させるばかりであり、現在と未来に対する無責任極まりない間違った選択である。

 島根原発の30キロ圏内の自治体は、島根県内では松江・出雲・安来・雲南、鳥取県内では境港・米子の各市がある。この度の事前了解手続きに関連して、耐震設計の目安となる基準地震動の評価が規制委員会の了承を得た際、3号機の申請手続きに言及したことに対して、鳥取県の平井伸治知事は貴社に対し「説明をきちんと受けたことは今までない。一からていねいに話を聞く必要がある。」と、貴社の勇み足に苦言を呈している。これまで3号機の建設に関しては「周辺自治体」に対しては何ら説明をせず、蚊帳の外に置いて進めてきた。
申請手続きに入る前に、まずは、周辺自治体に対し丁寧に説明をし理解を得ることから始めるべきである。福島原発事故を経験した今、もはや「立地自治体」と「周辺自治体」の異なる対応は許されない。2017年4月「脱原発をめざす首長会議」から、安倍首相と世耕経産相に対し、周辺自治体の「同意権」を明記する申し入れがされていることは承知のはずである。

また島根原発において避難を行う事態になれば、30キロ圏内自治体から広島県内に約16万9千人が、岡山県内に約10万1千人が避難をすることが、島根県・広島県・岡山県の3県において締結された「広域避難に関する協定」で明らかになっている。「事前了解手続き」を行うのであれば、30キロ圏内自治体はもとより、避難先となる広島・岡山両県にも同意が得られるようにすべきである。

猛暑といわれた夏季にも、とりわけ気温が下がった冬季も、電力余り状況となっていた。貴社が発表している「中長期のエリア需給バランス見通し(8月、送電端)」においても、島根原発3号機が動かなくても、上関原発が建設されなくても、これから先の10年間も大幅な余剰電力が生じることが示されている。
まだ島根原発3号機については、核燃料が装填されていない。いったん稼働してしまえば、施設は放射能に汚染され、廃炉のためには膨大な費用がかかることになる。稼働を思いとどまれば、原子炉内に自由に立ち入ることができ、研修施設や観光施設として活用を図ることができる。まさに「動けば負債、やめれば資産」である。

1978年、世界中が原子力発電の夢に酔っていた時にある科学者が「原発は滅びゆく恐竜である」という論文を書いた。40年前の指摘の正しさが明確になっている。悲惨な事態を二度と起こさないためには、すべての原発の停止と廃炉、それしか解決策などありえない。これが福島第一原発事故から学ぶべき教訓である。

私たちはこの度の「事前了解手続き」に対し強く抗議するとともに、直ちに手続きの中止を要請する。

2018年3月24日現在

【抗議団体名は下記の通り】
 山口県:原発いらん!山口ネットワーク
 島根県:さよなら島根原発ネットワーク、島根原発・エネルギー問題県民連絡会、三隅火電を考える会
 広島県:原発はごめんだヒロシマ市民の会

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