Category Archives: レポート、アクション、ほか

【地域の活動紹介】

さいなら原発びわこネットワーク より
8月4日開催「原発にたよらない町づくりを目指して」講演・討論会の報告

20170804kamagasaki

http://antiwar-committee-shiga.strikingly.com/blog/3-4
 

南予滞在記~原発直下のローカル社会の一断面~

現地レポート(報告者 八木健彦)

伊方原発50キロ圏内に収まる南予地域

愛媛県の西南部は南予と呼ばれている。工業地域としての東予、県の中心で行政・商業地域としての中予に対して、急峻な四国山地が宇和海に落ち込んでいく農林漁業中心の草深い地域が南予である。保守的な愛媛でも(愛媛は「日本会議」の拠点と言われている。)保守の牙城と言われてきた南予、松山で「愛媛はのんびりしているが、中でも南予には悠久の時間が流れている」と聞かされてきた。その南予に結局3年近く滞在することになった。

南予は一次産業地域であり、過疎化と高齢化にさらされ、その中でもがきながら、しかしおおらかに暮らしている。とくに宇和海岸沿いには名だたるミカン産地が連なっており、ミカンは生活の糧であるだけでなく、地域の歴史であり、文化であり、誇りでもある。養殖筏(いかだ)と島々が浮かぶ宇和海から照り映える太陽の光を浴びた、山の上まで手入れされた石垣の段々畑を見るとき、その思いは胸に伝わってくる。

伊方原発30キロ圏はほとんどが南予に属し、また南予地区は伊方原発50キロ圏にすっぽりと入る。南予は風光明媚で気候も穏やかで暮らしやすいところであるが、大雨による土砂災害と地震の心配は絶えずつきまとう。3年の間に八幡浜でも震度5を超える揺れは3度あった。中央構造線、南海トラフ、そして豊後水道や伊予灘の震源地と地震・津波の危惧は切迫したものがある(南海トラフ地震による津波で南予の海沿いの町々は全滅する、岡田眞先生は指摘する)。
そしてそれは常に原発事故・複合災害の恐怖と一体なのである。津波の後には放射能の津波が降り注ぐ。

この穏やかな、“日本のふるさとの原風景”を感じさせてくれるこの地域が、日々放射能を心配する生活を強いられている。そのことはこの地に暮らす人々の心の中深くに沈殿している。避難などできようもない、ここで放射能を浴びながら死んでいくしかないという老婆、ミカン畑が壊滅しふるさとが根こそぎ奪われてしまうことを心配する農家の親父、「息子がここには帰ってこれんという。この家も自分の代で終わりだ。」と寂しがる年配者。

原発問題は従来の政治イデオロギーの壁を超えてある。その一例として南予22カ所、公民館単位でおこなった「日本と原発」上映運動は計800名程が参加したが、自民党市議も参加していた。大洲の片田舎の民家でおこなった上映会に参加した自民党市議は、見終えてすぐに議会請願の原案を書いてきて、みずから紹介議員となった。

南予を覆う過疎―人口減と原発問題

 南予を深く規定しているのは、過疎化と原発問題であり、この二つの問題への直面からどのような地域の創生へと向かうのか、ということである。過疎―人口減は加速している。「地方創生」がつまるところ地方中核都市への集積と勝者などごく一部しかありえない地域間競争を通じた地域淘汰だということは、愛媛でも松山圏域への一極集中をもたらしていく。南予各地では旧くからの地元商店街の衰退、小中学校の統廃合、バス路線の廃止、後継者不在による空き家・耕作放棄地等、コミュニティの存立に関わる問題が顕在化している。

他方では「道の駅」による産直、地元女性による農家レストラン等の地産地消、補助金に頼らない法人による6次産業化での地域ブランド、廃校跡の子育て交流センターやミカン採集期若者宿舎への転用、地域に開かれ一体となった高校づくり(島根県隠岐の海士町の話は結構広まっている)、ミュニティバス・乗り合い自動車等地域交通システムの再構築、農業と太陽光発電を両立させるソーラーシェアシステム、木の駅による間伐材の利用―森林保護とエネルギーの地産地消、空き家や耕作放棄地の再転用と農家受け入れ農業研修を結び付けた移住促進(内子町と宇和島で成果を上げている、前者は若い世代の移住)、そして自然・歴史・文化に関わる地域資源の再発見と活用、等々といった多くのことが試みられている。

そういう中で、従来の家を中心とする部落会議と並んで、全員参加―個人参加の地域団体を立ち上げそこで地域づくりを推進するとか、ミカン農家で従来の家を軸にした土地と家業の相続から、地域を軸にして新参の移住者への相続といった事象も生み出している。

そういう胎動には、都会や他地域・他産業で経験を積んできたUターン者が推力をなしている場合が多い。いわば、かっての工業化と大衆消費社会化=都市化の波に乗った地域展開から、人口減という低密度社会をゆったりした相互扶助的社会、自然と共生し、多様なものが共生し、食とエネルギーの地産地消―地域自治をもっての循環型社会へと推転していくこと。

古い共同体へのノスタルジー的回帰ではなく、1人1人が独自の個性、かけがえのない存在として尊重されつつ、互いのつながり、支えあい、安心と信頼をもった協同関係が保持されていくようなそういう地域社会の創造である。

それはグローバル競争国家化の成長主義と相容れない。後者からのアプローチは、南予ではダイオキシンを出した産廃焼却施設や大々的な自然破壊と低周波公害をもたらす巨大風力の大規模設置等として現れている。それに対する住民の闘いも粘り強く展開されている。南予ではエネルギーの地産地消の動きが遅れている。小水力やバイオマスや太陽光等の小規模電源(ここには小型風力も活用の仕方で付け加わるだろうか)のネットワークー住民協同管理の地域電力の可能性は十分にあると言える。

再稼動をめぐって浮き彫りになったもの

こういうことの中に原発問題がある。原発はこういう方向に立ちはだかる。いみじくも、前西予市長が私たちに言ったように「伊方原発再稼働は西予市にとってはデメリットばかりで、メリットはなにもない」というのが南予の大半である。八幡浜市でも市長も認めるように原発災害はみかんと魚の町八幡浜の根幹を破壊し、市民生活を根底から破壊する。(市長はにもかかわらず飲食・ホテル・運輸・建設資材等で原発に依存していることを強調する)

再稼働積極容認派であった前伊方町長でさえもはや原発依存では町はやっていけない、と強調していた。にもかかわらず、再稼働に反対する意見を表明する自治体はなかった。
(西予・宇和島の市長は脱原発全国首長会議の参加者であったが、40年ルールの厳守と新増設禁止の要望にとどまった。高知の県境の梼原町が敢然たる町議会決議を2度全会一致で行ったのと対照的)

そこにあったのは国・政府と県に対する忖度であった。とりわけ政府は経産省職員5名を派遣し、自治体に張り付けて「地元同意」を画策し、忖度を仕立て上げた。八幡浜市は姑息にも50余名の「市民代表」を市が選定し、お手盛りの説明会とアンケートでもって「住民意志」を捏造し、議会をも無視して同意意見を回答したのであった。そこでは「重大なリスクを抱えて再稼動を容認するからにはそれに応じた経済的メリットを求める」という補助金要請がにじみ出るものであった。

原発は、平常は四電が前面に立ちつつも、決定的局面では「国策=エネルギ基本計画」ということで国家と向き合わされる。国の威信とそれを裏付ける交付金・補助金が立ちはだかるのである。(そこには「国家と核」という問題が、それへの態度が根底には潜んでいる。)

伊方町ではそれは露骨である。佐田岬半島の各集落の歴史的存立構造、原発建設反対運動と既成事実化がもたらした重圧、仕事とカネの動き等々が引き起こす地縁血縁職縁での同調圧力と忖度構造だけではなく、補助金がハコモノ以上に農業や診療所や老人施設等生活の深みにまで住民にまとわりつき、住民の自主性を抑圧し、依存=隷従構造をつくっている。そしてこの補助金は他自治体では地方交付税交付金等が基になるところが全て原発マネーと色付けされる。「原発あっての、原発のための住民」と言うかの如く。

半島の西端地域の住民は、「再稼働することはこの町が見捨てられることであり、自分たちが見捨てられることだ」という。事実集落から基幹道路へと出る県道が土砂崩れになっても、何カ月も補修せずブルーシートを被せたままで、再稼動と避難訓練がなされる現実を見ると、いかにこの地域で人の命と暮らしが軽んじられているかがわかる。「核と国家」という問題は半島ではこのように横たわっているのだ。

八幡浜住民投票運動をめぐって

 八幡浜では市長・市議会多数派[*1]・商工会という推進勢力のなりふり構わないやり方に対して、市民の怒りが噴出し、「福島を繰り返すな」ということを「住民の自己決定権」として表現していく住民投票運動が沸き上がった。

最も危機感を抱いて起ち上がったのはミカン農家であった。ミカンの採集期という超繁忙期のハンディ中に、一カ月間不眠不休で必死に署名活動に取り組んで有権者の三分の一に達する1万筆の署名で大きな衝撃を生んだが、市議会で否決された。
(この構造は7月の参院選にまで継続した。署名運動の力は野党統一候補支援の市民運動として継続したが、八幡浜では自民党候補に打ち勝った)

この中で微妙な位置に立ったのは西宇和農協であった。西宇和農協は70年代に東京市場で規格化と品質管理でブランドを確立して以来この地域では絶大な存在感を誇っている。現場のミカン農家の人たちと県との板挟みになった西宇和農協は、署名運動には反対しないが一切非協力を決め込んだ。それが議会で勝ちきれなかった要因となった。

書き残したことはいっぱいあるがもう紙数も尽きた。ともかく自治的でゆったりした循環型の地域共生社会の創造、そういう方向性の中にしか南予の未来はつかめない。それは安倍=日本会議的なものとの根底的訣別でもある。

[*1]
八幡浜市議会は1年半にわたって真っ二つに割れてきたが、市長の同意意見回答のあと急遽再稼働促進決議をおこなった。16名議員中、議長を除いて8名の賛成であった

7月5日(水)、再稼働阻止全国ネットワーク・たんぽぽ舎共同で、日本原子力研究開発機構へ質問を含む申入書を提出しました。

日本原子力研究開発機構
理事長 児玉敏雄 殿

再稼働阻止全国ネットワーク
たんぽぽ舎

去る6月6日大洗研究開発センターの事故について、下記の事項をお尋ねします。

  1. 事故の状況、作業員、環境、住民への影響など出来るだけ詳細に説明下さい
  2. 被曝された作業員は何名で正社員と非社員の内訳(どこの会社の下請けか)、それら作業員の現在の被曝状況、なぜ再入院になったか。検査結果と治療の詳細
  3. 7月3日、作業員3人が三度目の入院をしたそうですが、他の2人との被曝量の違い、治療の内容は? また5人の今後の治療法について伺います
  4. プルトニウム、アメリシウムなど作業員が被った被曝量の数値
  5. 放医研による「複数回の検査で肺からプルトニウムが検出されなかった」という発表の検査方法「肺モニタ」は原子力機構自身が「内部被曝がなかったことを示すものでない」と説明している検査方法ではありませんか
  6. 朝日新聞によれば、作業員からアメリシウム241が検出された事実を報じた。この物質はプルトニウム239が核崩壊して生ずる放射性物質で、プルトニウムの存在が証明されたと考えますが、放医研は発表を撤回すべきではないですか
  7. 今後被曝した作業員の健康管理、ケアはどのように行うのか
  8. 1991年、貯蔵容器に詰められた使用済み核燃料は再処理の際に抽出されたものと思われるが、その出所を明らかにして下さい
  9. もし「使うあてのないプルトニウム」を相当量保有していれば、核不拡散条約違反ではないでしょうか。IAEAの監視対象ではありませんか
  10. 1977年に運転を開始した「常陽」は増殖用炉に、ブランケット燃料を取り付けています。そこに核兵器転用可能なプルトニウム、ウランが存在することについてどのように説明なさいますか
  11. 今回ビニール袋が破裂した原因は?
  12. プルトニウムなどを詰めた容器がポリエチレン製の容器であれば、ウランもプルトニウム、も強力なアルフア、ガンマ線を発し、ポリエチレンの劣化で水素が発生、爆発の可能性は容易に想像され、過去にも似た例があるが、そのような理解はなかったのでしょうか
  13. ビニール袋を破裂させたのは「ヘリウムでなく水素」(サンデー毎日7月2日号、神戸大学山内知也教授)とも言われているが、その点について説明下さい
  14. 貯蔵容器を26年間未開封のまま放置していた理由は?
  15. 2月に規制委員会から、核燃料が複数の施設で保管すべき場所でない所に、長期間保管されているのは不適切と指摘されました。保管場所を探す作業の一環としての作業であれば、放射性物質のずさんな管理が原因の事故ではありませんか
  16. グローブボックスでなく、開放型の作業台を使用したのは放射能防護規定違反ではありませんか
  17. 作業員は全身を覆う防御服を着用せず、微粒子吸引防止用のマスクだけで作業に従事したのは事実でしょうか
  18. 作業員を直ちに退避させず、事故のあった一室に3時間も閉じ込めたのは人命軽視ではありませんか。その一室に充満した放射性物質はどのくらいあったのですか。その際作業員が被った被曝量は
  19. また事故の起きた建物の水道弁が故障し除染用のシャワーから殆ど水が出ず別の建物からホースを繋いで除染したことは事実でしょうか。もしそうであれば作業員の除染が不十分であった可能性はありませんか
  20. プレスリリースではプルトニウムとウランの割合を「26,9、73,1」としていますが、組成や成分の詳細を明示して下さい

2017年7月5日

 
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茨城県 広報

お知らせ(原子力施設に関する情報)
日本原子力研究開発機構 大洗研究開発センターの燃料研究棟における作業員の汚染,被ばく事故について
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/gentai/oshirase.html

 
関連報道

鼻腔内に汚染確認「健康には影響ない」 作業員被曝(朝日新聞 2017年6月6日21時27分)
http://www.asahi.com/articles/ASK666R5BK66ULBJ00W.html

【茨城】大洗・被ばく事故 県、安全管理検証など求める
 原子力機構に要請書(東京新聞 2017年6月9日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201706/CK2017060902000181.html

【茨城】被ばく事故で現地調査
 大洗開発センターで県議会いばらき自民(東京新聞 2017年6月15日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201706/CK2017061502000155.html

「バイバイ原発・京都」が呼びかける「京都キンカン」行動(毎週金曜17時~ 京都・関西電力まえ)で配布されたチラシ[7.6版]を掲載します。(作成:若狭の原発を考える会)

原発と核燃料サイクルは膨大な無駄遣い [ PDF
ほとんどが税金の投入と、電力料金への上乗せ

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関連報道

東海村施設廃止に1兆円 再処理工場 国費負担さらに増(2017/7/1 東京新聞)

原子力機構 核燃工場廃止に国費1兆円(2017/6/30 毎日新聞)

key: 核燃 廃止 負担増(Google News)

「バイバイ原発・京都」が呼びかける「京都キンカン」行動(毎週金曜17時~ 京都・関西電力まえ)で配布されたチラシ[6.1版]を掲載します。(作成:若狭の原発を考える会)

極めてずさんなプルトニウムの扱い [ PDF

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関連報道

「安全とは思えない」市民団体が抗議 高浜3号機再稼働(2017/6/7 福井 中日新聞)

高浜3号機周辺で再稼働反対訴え 京都や滋賀の住民も(2017/6/6 京都新聞)

key: 高浜原発 3号機 再稼働(Google News)

再稼働阻止ネットワーク6.6高浜原発ゲー トまえ行動申し入れ書【PDF】

20170606_takahama_n

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関連記事

再掲)高浜原発3号機 再稼働反対現地行動への参加呼びかけ

【地域の活動紹介】

さいなら原発びわこネットワーク ニュース15号より
「6.6 高浜原発3号機 再稼働反対現地行動報告」【PDF】

2017.06.07biwako

「バイバイ原発・京都」が呼びかける「京都キンカン」行動(毎週金曜17時~ 京都・関西電力まえ)で配布されたチラシ[5.26版]を掲載します。(作成:若狭の原発を考える会)

高浜原発の再稼働を許さず、原発を全廃して、
重大事故の不安のない社会を目指しましょう。

若狭の原発が持つ特殊な問題 [ PDF

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「バイバイ原発・京都」が呼びかける「京都キンカン」行動(毎週金曜17時~ 京都・関西電力まえ)で配布されたチラシを掲載します。(作成:若狭の原発を考える会)
 

現在の科学技術で、原発の安全確保・使用済み燃料の処理は不可能です
原発は、経済的にも成り立たない装置です
福島原発事故以降の経験は、原発はなくても電気は足りることを実証しました

高浜原発の再稼働を許さず、原発を全廃して、
重大事故の不安のない社会を目指しましょう。

3月28日、大阪高裁は、高浜原発3.4号機の運転停止仮処分の抗告審で、関電の主張のみを追認し、高浜原発運転差止め決定をくつがえしました。圧倒的多数の脱原発、反原発の民意を踏み躙る決定です。関電の主張では、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う”新規制基準”を「安全基準」とし、原発に「絶対的安全性を求めるべきではない」とし、「原発は安全であるから、”新規制基準”に避難計画は不要」としています。「新しい安全神話」を作ろうとするものです。関電や原発産業の利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものです。

今、ほとんどの世論調査で、脱原発、反原発の声は原発推進の声の2倍を超えています。国際的にも、イタリア、ドイツに続いて、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発を決意し、アメリカも原発縮小に向かっています。それは、スリーマイル島、チェルノブイリ、福島の大惨事を経験して、原発は、科学技術的に人類の手に負えるものでなく、経済的にも成り立たないことを悟ったからです。

関電は、大阪高裁の決定を受けて、高浜原発4号機を5月17日、3号機を6月上旬に再稼働させようとしています。これらの原発は、約31年を経過した老朽原発で、しかも、事故の可能性が高いウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)を燃料としています。再稼働を許してはなりません。

原発は、現代科学技術で制御できない(そう考える根拠)

高浜原発再稼働の風雲が急を告げる今、原発は現代科学技術で制御できず、人類の手に負える装置でないと考える理由を以下のように整理してみました。ご参考にされて、原発について考えていただければ幸いです。

  1. 核反応エネルギーは化学反応エネルギーの100万倍

    人類の生存している環境は化学反応で維持されています。この化学反応はeV(エレクトロンボルト)という単位のエネルギーのやりとりによって生じます。例えば、石油を燃すと最高で数1000℃を得ることが出来ますが、これがeVの世界です。生物の体内で生じる化学反応はさらに低いエネルギーで進み、生体内反応の多くは0.1 eV 以下の世界です。すなわち、100℃までの世界です。したがって、100℃を越えて生きる生物はまれです。

    一方、核反応ではMeV[M(ミリオン=100万)]という単位のエネルギーがやりとりされます。例えば、プルトニウムは約4MeVのエネルギーを持つアルファ線を出しますが、原理的には、これによって数100万℃以上の温度が得られます。これがMeVの世界です。

    このことは、核反応1反応によって100万に近い化学反応が生じることを意味します。核反応は爆発的に起こり、化学反応によって簡単に制御できない理由です。したがって、原子炉は大量な水で冷やし続けなければならず、水がなくなると、あっという間に核燃料や原子炉構成材料が溶融します。体内に取り込まれた放射性物質から出る放射線による内部被曝では、1000万に近い体内の化学結合が切断されることになります(実際には、核反応エネルギーの一部しか結合切断に使われないので、もっと少ない)。

    以上のような理由で、核反応エネルギーを閉じ込めて置くことは極めて困難です。一つ間違えば、大惨事になります。原発の重大事故時には、膨大なエネルギーに起因する熱(核反応熱;核分裂で出る熱、崩壊熱;放射線を出して別の物質に変わるときに出る熱)によって核燃料や被覆材などの原子炉材料が溶融し、水素ガスの発生・爆発あるいは水蒸気爆発(高温での水の爆発的蒸発)を引き起こし、大惨事(メルトダウン、メルトスルー)に達しかねません。 
    化学反応エネルギーでは、このような事態にはなりません。
     

  2. 原発事故の特徴;瞬時に進行し、時間的にも、空間的にも通常事故とは桁違いに深刻な被害

    ・前項で述べましたように、核反応は膨大なエネルギーを出しますので、原発で冷却水が途絶えると、瞬時に(火災などとは比較にならない速度で)重大事故に至ります。そのように瞬時に進行する事故への対応は至難で、進み始めた事故を止めることは極めて困難です。例えば、海水の原子炉への大量注入は何千億円もする原子炉を使用不能しますが、重大事故に際して、海水の大量注入行ってメルトダウンを防ぐ判断を会社の上層部や政府に仰いでいる暇はありません。事態を把握し、議論している間に、原子炉が深刻で取り返しのつかない状況になるからです。なお、今までの全ての重大事故では、事故を深刻でないとする判断(願望も含めて)を行い(例えば、計器の指示ミスと判断)、事態をより深刻にしています。

    ・放射性物質による被害は長期におよびます。火事は長くても数十日で消火できますが、放射性物質は、半減期に従って消滅する[放射線を出して他の物質(核種)に変わる]まで放射線とそれによる熱を発生し続けます。代表的な放射性物質の半減期は、プルトニウム239で2万4千年、ネプツニウム237で214万年、セシウム137で30.7年、ストロンチウム90で28.8年、ヨウ素131で 8.02 日です。放射性物質は、1半減期で1/2に、半減期の10倍で約1/1000、13.3倍で約1/10000、20倍で約1/100万に減少します。例えば、プルトニウム239を1/10000に減少させるには約32万年かかります。それでも、安全なレベルになるとは限りません。なお、半減期の短い物質は早く崩壊しますから、物質の量が同じであれば、時間当たりにすれば、多くの放射線を出します。

    ・放射性物質による被害は長期におよびますから、原発事故では長期の避難を強いられ、住民は故郷を奪われ、家族のきずなを断たれ、発癌の不安にさいなまれます。通常の災害では、5年も経てば、復興の目途はある程度立ちますが、原発事故は、生活再建の希望も奪い去ります。福島事故では、4年経った1昨年から、絶望のために自ら命を絶たれる避難者が急増していると報道されています。

    ・放射性物質は長期にわたって放射線を出し続けますから、高放射線のために事故炉の廃炉は困難を極めます。また、放射線による熱発生のため、冷却水が途絶えると、核燃料が再溶融し、再び核分裂を始める可能性もあり、長期間冷却水を供給し続けなければなりません。福島原発では、事故から6年経っても、溶け落ちた燃料の位置も一部しか分かっていません。完全廃炉には、50年以上を要するとの見解もあります。

    ・重大事故によって放出された放射性物質は、事故炉近辺を汚染させるだけでなく、風によって運ばれた後、雨によって降下するのですから、汚染地域は極めて広範囲に広がります。福島事故でも、約50km 離れた飯舘村も全村避難になり、約200km 離れた東京や千葉にも高濃度の放射性物質が降下しました。チェルノブイリ事故では、日本でも放射性物質が検出されています。海に流出した放射性物質は海流に乗って広範囲の海域を汚染します。福島の放射性物質はアメリカ西海岸にも到達しようとしています。

    若狭の原発の重大事故では、関西はもとより、中部、関東も高濃度放射線で汚染される可能性があります。汚染水は日本海にたれ流されますが、日本海は太平洋に比べて比較にならないほど狭い閉鎖海域ですから、極めて高濃度に汚染されます。若狭湾の汚染はさらに深刻です。
     

  3. 原発は、長期保管を要する使用済核燃料、放射性廃棄物を残す

    原発を運転すると、核燃料の中に運転に不都合な各種の核分裂生成物が生成します。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると新燃料と交換せざるを得なくなり、そのため、使用済み核燃料がたまります。現在、日本には使用済み核燃料が17,000トン以上たまり、原発の燃料プールや六ケ所村の再処理工場の保管場所を合計した貯蔵容量の73%が埋まっています。原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になります。使用済み核燃料を消滅させる方法はありません。

    ところで、国の計画では、全国の使用済み核燃料は再処理して、ウラン、プルトニウムを取り出し、再利用することになっていました。しかし、再処理工場の建設はトラブル続きで、すでに2兆2千億円をつぎ込んだにもかかわらず、完成の目途(めど)は立っていません。危険極まりないこの工場の運転は不可能と言われています。

    福井県にある原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の容量は5,290トンですが、その7割近くがすでに埋まっています。高浜、大飯、美浜の原発が再稼働されれば、7年程度で貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなります。なお、使用済み核燃料貯蔵プールは脆弱(ぜいじゃく)で、冷却水を喪失し、メルトダウンする危険性が高いことは、福島第1原発4号機の燃料プールから冷却水が漏れ、核燃料溶融の危機にあった事実からでも明らかです。

    一方、日本には、低レベルおよび高レベル放射性廃棄物が200リットルドラム缶にしてそれぞれ約120万本および約1万本蓄積されていますが、その処分は極めて困難で、永久貯蔵はおろか中間貯蔵を引き受ける所もありません。

    数万年を超える保管を要する使用済み核燃料、放射性廃棄物の蓄積の面からも、原発は全廃しなければなりません。
     

  4. 高浜原発の重大事故では、若狭のみならず、京都、滋賀の全域も故郷を失う可能性が大

    高浜原発から50km圏内には、京都市、福知山市、高島市の多くの部分が含まれ、100km圏内には、京都府(人口約250万人)、滋賀県(人口約140万人)のほぼ全域、大阪駅、神戸駅を含む大阪府、兵庫県のかなりの部分が含まれます。このことと福島原発から約50km離れた飯舘村が全村避難であったことを考え合わせれば、高浜原発で重大事故が起こったとき、500万人以上が避難対象となる可能性があり、避難は不可能ですが、政府や自治体が行う避難訓練では、そのことが全く考えられていません。この圏内には琵琶湖があり、1,450万人の飲用水の汚染も深刻な問題です。さらに、避難訓練には、原発事故での避難は極めて長期に及ぶ(あるいは永遠に帰還できない)という視点がありません。福島およびチェルノブイリの事故では、今でも避難された10数万人の大半が故郷を失ったままです。

    昨年8月27日に高浜原発から30km圏の住民179,400人を対象にして行われた避難訓練は、最大規模と言われながら、参加者数は屋内退避を含めて7,100人余りで、車両などでの避難に参加したのはわずか約1,250人でした。それも県外への避難は約240人に留まりました。この規模は、重大事故時の避難の規模とはかけ離れた小ささです。車道などが使用不能になったことを想定して、陸上自衛隊の大型ヘリによる輸送訓練も予定されていましたが、強風のために中止されました。また、悪天候のため、船による訓練は全て中止されました。老人ホームなどへの事故に関する電話連絡は行われましたが、実際行動の必要はないとされました。
     

  5. 高浜原発3,4号機は、危険極まりない老朽原発(31~32年を経た原発)

    原発は事故の確率が高い装置ですが、老朽化すると、重大事故の確率が急増します。次のような理由によります。

    ・原発の圧力容器、配管等は長期に亘って高温、高圧、高放射線にさらされているため、脆化(ぜいか:金属が軟らかさを失い、硬く、もろくなること)、腐食(とくに、溶接部)が進んでいます。中でも、交換することが出来ない圧力容器の脆化は深刻です。事故時に原子炉を急冷すると、圧力容器が破裂します。電気配線の老朽化も問題です。
    ・老朽原発には、建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数あります。しかし、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能なもの(圧力容器など)です。

    ・老朽原発では、建設当時の記録が散逸している可能性があり、メンテナンスに支障となります。また、建設当時を知っている技術者はほとんど退職しているので、非常時、事故時の対応に困難を生じます。

今、原発は動いていないけれども、電気は足りています。重大事故の危険性をおかして運転するのは愚の骨頂です。電力会社の金儲けのためです。

原発事故は自然災害とは異なります。自然災害を止めることはできませんが、原発事故は止められます。原発は人が動かしているのですから、人が原発全廃を決意すれば良いのです。

原子力防災とは、避難計画ではありません。不可能な避難を考えるより、事故の原因である原発を廃止することです。原発全廃こそ原子力防災です。

重大事故が起こってからでは遅すぎます。原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

2017年5月16日 若狭の原発を考える会(連絡先:090-1965-7102木原)
 
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(このイベントは終了しました)

「若狭の原発を考える会」からの呼びかけです

 5/15(月)~5/17(水) 現地行動:高浜原発ゲート前および関電 本店まえ
 >>> チラシ
 東京の関電東京支店前(内幸町 富国生命ビルまえ)でも連帯行動を行います。→5/16(火)ひる12時・夕方17時半

原発再稼働阻止、原発全廃のためにご奮闘の皆様

4月27日の「高浜原発うごかすな!関電包囲全国集会」(700名参加)と御堂筋デモ(大阪)、5月7日の高浜原発ゲート前行動(350名参加)、「高浜原発うごかすな!現地集会」(400名参加)、高浜町内デモ(高浜町)、5月8日~12日の高浜~福井を結ぶリレーデモ(延べ400名参加)、5月12日の「高浜原発うごかすな!福井集会」(福井市:120名参加)では、多大なご支援を頂き、また、多くの方がご参加いただき、ありがとうございました。

これらの行動を通して、「高浜原発うごかすな!」の声は、圧倒的多数であることを実感し、再確認もできました。この声が顕在化していないのは残念ですが、今後、原発全廃運動が拡がれば、必ずや顕在化するであろうと予感させられました。

それでも、関西電力は、脱原発・反原発の民意を踏みにじって、31年越えの老朽原発で、かつ、危険極まりないプルサーマル原発・高浜4号機を、5月17日にも再稼働させようとしています。

関電は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を「安全基準」とし、原発に「絶対的安全性を求めるべきではない」と し、また、「原発は安全であるから、“新規制基準”に避難計画は不要」としています。「新安全神話」を作ろうとするものです。このような、自社の利益のた めに、人の命と尊厳をないがしろにしても原発を動かそうとする関電の姿勢を許してはなりません。

私達「若狭の原発を考える会」は、高浜原発再稼働阻止を勝ち取るために、次の行動を呼び掛けています。

5月17日(水)、正午に高浜原発北ゲートの奥の展望所に集合し、13時からデモ行進で北ゲートに向かい、同ゲート前で、17時30分まで、高浜原発再稼働の企みへの断固とした抗議行動を展開します。この時間内に、関電への申入れも計画しています。

この行動によって、高浜原発3、4号機再稼働反対の大きな声をあげ、関電、規制委、安倍政権の原発推進の野望を打ち砕きたいと考えています。17日には、是非多数の方がご参加下さるようお願いたします。(当日は、京都、滋賀からも配車します、ご参加ご希望の方はご連絡ください。>>> チラシ

一方、中島哲演さんは、15日10時より関電本店前で3日間の断食抗議を行われます。電発電力を使い続けた私たち関西の住民は、反省の意も込めて連帯したいと思います。1食だけでも断食して、「高浜原発うごかすな!」の声をあげましょう。

なお、4月27日~5月12日の行動は、「原子力発電に反対する福井県民会議」の呼びかけで多くの団体が参加した「高浜原発うごかすな!実行委員会」が主催しましたが、17日は、緊急行動ですので、「若狭の原発を考える会」が呼びかけることにしました。