10.11 伊方原発ゲート前行動、10.12 川内原発2号機再稼働阻止 鹿児島集会
<民の叫びに舞踊る竜王様に導かれて>
10月11日、「第29回伊方集会」が開催された。東京から参加することになった私は、金曜夜の首相官邸前抗議を早々と切り上げ、夜行バスで12時間、愛媛に向かった。八幡浜に到着後、「伊方の家」で一泊。瀬戸内の海を渡るのも初めてであり、見知らぬ土地の人々の暮らしも知らないまま、やっとの事でゲート前に辿り着いた。
眼下に見えるのは伊方原発の3つの原子炉。87年10月に四電が秘密裏に行った出力調整実験の恐怖、88年米軍ヘリ原発800m付近への墜落。そして巨大地震が想定される中で嘘で塗り固められた「新規制基準」審査のまやかし。住民の不安は私の理解を超えるものであろう。
そんな中で始まった抗議行動は東京の集会には無い力強い歌と踊りで始まった。私欲にまみれた四電は竜王様のお告げを無視し、原発を建てたという。四国全県、全国から集まった250名の参加者は一人ひとりの怒りを抗議文に託し、或いは直接の言葉で、太鼓で再稼働阻止の意思をアピールしていった。
<近藤誠さんの言葉に勇気づけられて>
闘病中の体を押して、車椅子で駆けつけた
近藤誠さんの言葉
「 四電は住民に再稼働審査は合格したとの理由書を配っているが、福島原発事故のことは一切書かれていない。基準地震動の説明が何度も変わっている。国民だましのトリックだ。
住民は誤魔化しの中での生活はできない。再稼働を止めていくことは子孫を守っていくことだと確信している。安倍政権を倒し、あらゆる体制をひっくり返していくことを断言し、宣言する。 」
東電福島原発事故のような核事故は二度と繰り返してはいけない。川内原発1号機が再稼働され、2号機の稼働も迫っているが、川内原発ゲート前ではハンストで抗議する人々がスクラムを組み、連帯する仲間が全国に拡がっている。
地元議会が容認しようとも、住民の意思は「再稼働不同意」である。この意思表示の行動をつなげ、広げていく役割の全国ネットの一員として、近藤誠氏の最後の言葉をお伝えしたい。同時に、伊方原発建設反対運動以来の優れた闘いの歴史に学び、来たる11月1日 松山集会の成功を全国の皆さんと共に勝ち取っていくことを宣言し報告に代えさせていただく。
追記―
近藤氏の突然の訃報。謹んで哀悼の意を表したい。
私たちにとってかけがえのない人を亡くした悲しみは大きい。
原発再稼働を許すことは、近藤氏が長年にわたり訴え続けてきたメッセージに反し、未来への裏切りになる。11月1日の伊方原発ゲートまえ行動を全国の皆さんに呼びかけます。(ゲート前行動に参加の方は喪章の着用等をお願いいたします)
ご家族の了解のもと、ゲート前での発言全文を掲載いたします。
伊方原発ゲート前での近藤誠さんの発言(テープ起こし)
本日は皆さん各地から駆けつけていただきまして本当にありがとうございます。ありがとうございますと言いましても、皆さんと私は同じ立場でございますが。
本日、四国電力の皆さんに、先ほどからずっと参加者の多くの皆さんから伊方原発の危険性と地域の安全を何とか守りたい、そのような思いがずっと連綿と語られたと思います。それはまさに私たち地域の住民の同じ願いそのものであります。
四国電力の皆さんは、いまは残念ながら、なんとしてでも利益を確保しようと、あらゆるものを無視して邁進しておられますけれども、しかしやはり皆さんの中には、原発の推進に大きな疑問を持った方も私はたくさんおられると、そのように信じております。そのような皆さんとともに、今後、やはり原発なしに暮らしていける、そのような地域、社会づくりをともにぜひ進めていただくことを、地域の住民として述べたいと思います。
それからもう一言、いま30キロ圏内に四国電力の皆さんが、いわゆる新規制基準に合格したと称する説明書を配っておられる、あるいは郵送しておられます。それを一応私どもも読ませていただきましたけれども、そこには残念ながら、まったく福島事故の再発を防ぐそのような手立てはまったくありません。
具体的に申し上げれば、耐震設計、地震についても大きなごまかし、トリックを行なうことによって、地震、活断層の耐震設計を小さく見せる。このようなことをまったく変えていない。1号炉、2号炉の安全審査の大きな誤りを認めることなく、そのままにして、さらに3号炉をあなた方は建設した。しかし、現実にそのパンフレットの中にこう書いてあります。基準地震動はあらゆる要素を見て、最大の地震動である。そうちゃんと注釈までついている。しかしその最大の地震動というものをあなた方は、1号炉では200ガル、そしてその後、3号炉で473ガル、さらに570ガル、そして650ガルと、次々とそのような数字が変わっていきました。それはいかにあなた方が設定していた最大の基準地震動といわれるものが、いかに科学的に根拠のないでたらめなものであった、恣意的なものであるかということを具体的に実証しています。誰が見ても、それは明らかなことです。それにも関わらずあなた方は、それをあたかもですね、科学的なものであるかのように未だに装っている。
残念ながら、あなた方だけが悪いわけじゃない。それに対する専門委員会、原子力規制委員会、すべてがそれを認めている。こういう皆さん一体となった国民騙し、住民騙しのトリックによって、あなた方は強引に手続きを進めようとしている。
さらに具体的にいえば、いちばん最後に誰もがいちばんいま問題としている住民の避難。いざ事故が起きた場合、あなた方はメルトダウンをすると平然と言って、それに対する対策をつくるんだと、つくっていると言っていますが、肝心要のいざそれが起きた場合に住民はどうする。住民はどこに逃げたらいい、どうすればいい。避難の「避」の字も、今回のあなた方の3号炉の説明書のなかには、まったくない。
つまり、避難については、すべてあなた方は責任を持たない。県も責任を持たない。四国電力は責任を持たない。そして政府は、安倍首相が「国が責任を取る」と言っているが、あの安倍首相の言った言葉は、たんにこれまでの原子力防災計画のなかで、すでに定められた文書の中の言葉を言い換えているだけにすぎません。
実際に、先程来から指摘されてきたように、いざ事故になったときに、あなた方はどのように責任を持つことができるのか。安倍やあなた方社員が、いったいどうやって、この膨大な人々が逃げ惑うその状態、そしてその結果について、あなた方はどのような責任を実際自分で取るというのか。それはまったく取れない。誰も取ることはできない。にもかかわらず、それがあたかも取れるかのように、あなた方はいま装い、それを強引に進めようとしている。
私たちはですね、ぜったいこのようなあなた方のトリックやごまかし、その中でこれからの生活を営んでいくことは、とてもできません。私たちはなんとしても再稼働を阻止して、そして原発のない社会づくりを私たちは進めていく。また電力会社の皆さんとともに進めていく。それしか、今後私たちは、自分たちの子どもを守り、自分たちの子孫を守っていく方法はないと私たちは確信しています。四国電力の皆さんも含めて、私たちは原発をなくす社会づくりをしたいと思います。
そして安倍政権、これをなんとしても打ち倒す。まったく新たな政権によって、あなた方がこれまでつくってきた、いわゆる安保法、戦争にむかうあらゆる体制をひっくり返していく。私たちはそのことを、それぞれみんなが手を結んで、手を繋いでそれを進めていく。そのことを私たちは皆さんに、はっきりと断言し、宣言したいと思います。以上です。
■PHOTOレポート 10月11日(日)伊方原発ゲート前抗議
■PHOTOレポート 10月12日(月休)川内原発ゲート前抗議