【地域の活動紹介】原子力規制委員会が新規制基準適合性審査の一環で川内原発の現地調査に入ったことに対し、地元市民グループなどが抗議行動を行いました。その際、市民団体から出された申入書を紹介します。
2014年4月3日原子力規制委員会
委員長代理 島崎邦彦様申 入 書反原発・かごしまネット
代表 向原祥隆
[住所表記を省略]原子力規制委員会は3月13日、九州電力川内原発1、2号機を優先的に審査することを決めました。
しかしながら、私たちが指摘してきた多くのことが、積み残しのままになっているのではないでしょうか。一たび川内原発が爆発事故を起こせば、鹿児島県全域が壊滅しかねません。規制委員会には、下記の事項について、きちんとした結論を出し、公開するよう申し入れます。
(1)原発周辺の活断層の存在をすべて解明すること
①地震調査研究推進本部地震調査委員会が示した以外の活断層を明示すること
理由:2013年2月発表の長期評価は、いわば中間報告であることが議事録を見ればよく分かる。地震調査委員会の議事録には「委員:断層図を見る限り、今回指摘された個所以外にも、多数の断層変異が認められる」(2012.7.26)「委員:今回のように生データを見ると『活断層が存在するのは明らか』」(同)「委員:電力会社の資料を見る限り、市来断層の延長部の海域には、少なくとも何条かの活断層がある。それは膨大な作業量となるだろう」「主査:それらは原子力保安院の会議で行う作業である」(2012.6.25)という文言が並ぶ。
保安院なき今、地震調査委員会が示した以外の活断層を評価するのは、規制委員会の責務である。②FA(甑断層)の東端を明示すること
理由:地震調査委員会の議事録に「委員:FA断層の東端はどこか等の読み直しが必要となる」(2012.6.25)との文言がある。東に延びれば、川内原発に一層近づく。③FC(甑海峡中央断層)の北端を明示すること
理由:「委員:FC断層がさらに北に延びる可能性についてはどうするか」、「主査:FC断層がFA断層を止めているということか」、「委員:そのように見えるということである」「事務局:その可能性があるということである」(2012.6.25)との文言がある。北に延びれば、川内原発に一層近づく。④川内川河口推定断層の存否を明示すること
理由:川内原発1kmの川内川河口推定断層は橋本他論文(1972)によって広く知られる。事実、川内川河口の両岸に20~30mのMIS5e(12.5万年前の海成段丘面)があり、下山論文(1999)には河口-36.1mにMIS5eがある。河口が50~60m陥没構造にあることを示す。九電はこの事実を無視している。⑤炉心から800mの距離にある断層が活断層でないことを明示すること
理由:炉心からおよそ800mにある林道露頭に幅20cmないし30cmの破砕帯を伴う断層がある。その中心部分には軟らかく、指でこねることのできる断層粘土が存在する。こういう性状を持った断層は少なくとも3本、近接して観察される。断層粘土の軟らかさから、12~13万年前以降に動いた活断層の可能性が極めて高い。(2)火山災害に対する安全性の根拠を明らかにすること
①桜島の考えられる最大規模の噴火を明示すること
理由:文明、安永、大正等の噴火が知られるが、これ以上の噴火はあり得ないのか、最大級の噴火はどの程度になるのか。②大規模火砕流の到達しない根拠を明示すること
理由:川内原発直近3kmには、2万7千年前の姶良カルデラによる入戸火砕流、10万5千年前の阿多カルデラからの阿多火砕流の露頭があり、到達したことは明らかである。九電は火砕流の可能性は極めて小さいとするが、何の根拠もない。以上