【5年の猶予期限内に設置できなかったことをまず県民に謝れ】
――20人で申し入れ・抗議!九電川内原発1号機「定検入り」――

ストップ川内原発!3.11かごしま実行委

 川内原発1号機が、3月16日から「定検入り」して、原子炉を停止した。
 九電は、特重施設を「設置猶予期限」の3月17日までに完成することができなかった。
 このままでは、規制委員会から「規制基準不適合」として「使用停止命令」が出されるはずだったが、それを「回避するための定検」入り、ということだ。
 ストップ川内原発 ! 3.11鹿児島実行委員会は、16日午後1時過ぎから、九電鹿児島支社に対し「定検後も動かすな」という申入書を提出した。
鹿児島、薩摩川内、いちき串木野、屋久島などから約20人が参加した。 応対した立地コミュニケーション部のグループ長は、「5年の猶予期限内に設置できなかったことをまず県民に謝れ」という参加者の声に対し、「私どもも努力している。怠慢ではないが、期限を守れなかったことは申し訳ない」と陳謝した。
 そもそも、規制委員会が「テロ(シビアアクシデント)対策」を本気で考えているなら、いつ起きるか分からない「テロ=シビアアクシデント」に対して、「5年猶予」を与えることがナンセンスだ。この規制基準は「緩きにすぎる」そのものではないか。


【川内原発1号機は、定検後も動かしてはならない
ストップ川内原発!3.11鹿児島実行委員会 申入書

2020年3月16日

九州電力株式会社 社長 池辺和弘 様

ストップ川内原発!3.11鹿児島実行委員会
事務局長  杉原 洋

 

《申入書》川内原発1号機は、定検後も動かしてはならない

 川内原発1号機は、きょう、第25回定期検査のため停止しました。
停止は12月26日まで286日間の計画です。普通なら、定検は13カ月に1回、80日間ほどです。
 川内1号の前回定検は、19年10月に終わりましたから、今回、わずか5カ月で定検入りし、しかも300日近く停止するのは、極めて異例です。

 言うまでもなく「特定重大事故等対処施設」を設置期限の3月17日までに完成させることができなかったからにほかなりません。完成させるための時間稼ぎでしょう。
 本来、設置期限内に特重施設を造ることができなければ、「規制基準不適合」として使用停止命令が出されるはずでした。貴社はこれを避けるため、昨年4月、関西電力、四国電力とともに、規制委員会に設置期限見直しを求めましたが、当然のことながら規制委員会に拒否されました。そこで定検実施を設置期限前日の3月16日に繰り上げ、停止命令を回避したように見えます。法規を順守しようとする姿勢が全くうかがえません。極めて遺憾です。

 特重施設が何のために求められているのか、設置期限がなぜ設定されているのか。
 貴社が昨年4月にとった行動は「どうせテロなどない」と考えていることを示しています。万一の場合、深刻な被害をもたらす原発を動かしている企業としての自覚と責任が欠如しているとしか思えません。

 原発の「テロ対策」設備の国際標準は、原子炉格納容器の二重化です。万が一、航空機が突入するような事態が起きたとき、原子炉本体が壊れることを想定しているからです。
 しかし、日本では、そのような事態が起きたとしても「原子炉容器は壊れない」ということを前提としています。原子炉から100メートル離れたところに特重施設を設置して対処するという発想は、「航空機による『テロ』が起きても原子炉は壊れない」ということが前提です。そんな想定がそもそも間違いです。
 原発企業として規制基準の甘さを指摘し、より厳しい対策に、自ら積極的に動くべきではありませんか。
 私たちは、特重施設ができたとしても、原発の安全性が高まるとか、危険性が緩和されるなどとは全く考えていません。
 本当の「テロ対策」は「原発を動かさない」しかありません。

 さらに、日本では、メルトダウンが起きたときの「コアキャッチャー」設置も求められていません。
 格納容器二重化にしても、コアキャッチャーにしても、膨大な経費が必要です。これを回避して、安全・安心を安上がりに済まそうとしているのが、日本の原発政策であり、それに寄りかかっているのが貴社をはじめとする電力各社ではないのですか。

 そもそも、原発を動かし続ける限り、使用済み核燃料がたまり続けます。
 使用済み核燃料の行き場がありますか?・責任が持てますか?・それでも原発を動かしますか?
 貴社は、再生可能エネルギー施設の「出力制御」を続けている日本で唯一の企業です。間違っています。原発をやめて、信頼される企業に生まれ変わるべきではないでしょうか。
よって、以下の通り申し入れます。

 一、九州電力は、川内原発1号機の第25回定期検査終了後も、原発を動かさないこと。

以上

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