エコノミスト 2013年6月25日号
原発輸出の矛盾:問題案件を抱え込む安倍政権、原発輸出の矛盾
宗敦司
(エンジニアリング・ビジネス編集長)
安倍政権が原発輸出を強力に推進している。トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビとも5月に協定を締結。インドとも協定締結に向けた交渉の再開で5月末に合意した。さらにはフランスとも原発輸出の協力で6月7日に合意している。まるで“原発セールスマン”となったようだ。
政府が原発輸出にこだわるのは、一つには福島事故後でも海外での原発ニーズが現実として存在するためだ。米国ではシェールガス革命に押されて、原発の新規立地計画は失速しているが、アジア、中東、欧州では引き続き計画が進んでいる。
それに対して日本のプラントメーカーは十分な供給力を持っている。とはいえ、東京電力福島第1原発の事故で国内の新設は見込めない。原子力産業を維持していくには、輸出に頼るしかないのが現状だ。輸出が実現すれば、供給者としての責任をアピールし、日本国内での原発産業維持という名目も立ち、核物質の保有を正当化し続けることもできる、というわけだ。………
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