6/3(月)に開催した「再稼働反対を訴える院内交渉集会」の報告
事務局 木村
今なぜ防災計画なのか? 今なぜ防災訓練なのか?
福島原発事故を経験した地震列島日本で原発を動かして安全と言えるのか?
規制庁は、災害対策指針について、本体をパブコメにかけなかったことを認めつつ、2回のパブコメを実施し、形式的には着々と指針ができてきていると説明した。原発立地全国から、防災計画と訓練の経験を踏まえて各地域の実情を説明して、防災計画も防災訓練も役立たないことを訴え、一度事故が起こってしまったら避難できない、訓練よりも廃炉を、と厳しく迫った。さらに、協定について規制委は関与しない、地域防災は規制委の新規制基準で安全性確認の対象にはなっていない、自治体として稼働を判断するに当たって地域防災計画を整備することが望ましい、と答えた。災害対策指針の「仏作って魂入れず」の実態が確認できた。
新規制基準の基準地震動に絞った質疑においては、近年基準地震動を超える地震が起こり、政府がマークしていなかった活断層が大地震を起こしたことは事実として認めつつ、新規制基準では、サイトの3次元地下構造の把握を義務付け周辺の地震記録を調査させるとしながら、実際の調査は総て事業者任せで規制委はそれを確認するのみであり、新規制基準は私たちを一層心配させるものであることが明らかになった。
★伊方と刈羽村から規制委員長宛てに提出した要請書
・要請書 伊方原発反対八西連絡協議会 【PDF】
・要請書 八幡浜・原発から子どもを守る女の会 【PDF】
・要請書 刈羽村村議会議員 近藤容人
★当日参加者からの資料
・見せかけだった活断層(川内原発) 【PDF】
★当日の様子(IWJ) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/82990
(※掲載期間終了後は、会員限定記事となります)
★文字起こし(原子力規制を監視する市民の会)
【文字おこし1】質問Iについて規制庁から回答(2013/6/4)
【文字おこし2】6.3刈羽村村議会議員からの質問ほか(2013/6/4)
【文字おこし3】6.3反原発自治体議員・市民連盟さんの質問(2013/6/4)
【文字おこし4】浜岡原発を考える静岡ネットワークさんの質問(2013/6/5)
【文字おこし5】富山県から参加された方の質問(2013/6/6)
【文字おこし6】川内原発周辺にお住まいの方からの質問(2013/6/6)
【文字おこし7】伊方原発現地住民からの質問(2013/6/7)
【文字おこし8】福井県にお住まいの方からの質問(2013/6/7)
【文字おこし9】福井県の方の質問にともない会場からの質問(2013/6/8)
【文字おこし10】会場からの質問 つづき(2013/6/8)
この文字起こしから質疑記録の要約として一部抜粋して掲載します。
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質問書 http://saikadososhinet.sakura.ne.jp/ss/archives/2482
回答者 規制庁 原子力防災課課長補佐 刀禰正樹さん
Ⅰ 原子力災害対策指針について
1 指針決定、防災計画、防災訓練のスケジュールについて
回答:
この指針は、昨年2012年9月19日に原子力規制委員会が設置され、翌10月末日の段階で作成された新たなものである。作成過程で、これまでの旧原子力安全委員会の時代に議論されていた見直しの内容、政府・国会・民間の事故調査委員会からの報告書、さらには原子力規制委員会設置後に福島県・原発立地の市町村・道府県からの意見をいただき、それらをもとに最終的に指針を作成していった。
2 福島及び原発立地・周辺への説明について
回答:
原子力災害対策指針を作成する過程において、福島県から様々な意見をいただいた。こうした意見をいただく場に際しては、原子力規制委員会における審議の場を公開という形で進めてきたところである。
3 原子力災害対策指針の制定手続きについて
回答:
昨年9月19日に原子力規制委員会が設置され、災害対策指針が全く無いということだと空白状態になってしまう。その段階で稼働していた原発は大飯原発3・4号機だけで、残りの原発は停止していたが、停止していたからといって事故が起きないとは言い切れないわけで、私どもとしては1日たりとも災害対策の空白を作らないようにしなければならないという問題意識で、一番最初の災害対策指針改訂については、緊急性があると判断し(パブリックコメントをかけずに)制定した。
10月の段階で検討に時間のかかるもの、さらに検討が必要だという検討課題、宿題というかたちで残したものがいくつかある。今年2月に新たな内容を追加するかたちで第一次改訂を行った。この改訂にあたり、パブリックコメントを付したところ約3,000件の意見を頂戴した。いただいた意見についての回答も原子力規制委員会のHPで公表している。さらに改訂作業は続き4月に新たな内容を追加する第二次改訂を行った。この改訂にあたり2回目のパブリックコメントを付したところ約350件の意見を頂戴した。これについては、原子力規制委員会でどのように意見をまとめ、改訂に反映していくかどう取り扱うかについて検討中である。なるべく早く原子力災害対策指針の改訂を決定していく。
原発立地から:
刈羽村から:説明は、少なくとも議会・地域住民は受けておりません。事故の想定は何か? 原災法第15条には爆発と書かれてあるでしょう。(福島事故では)圧力容器、格納容器の爆発スレスレであれだけ大騒ぎになっていたのに、なぜ想定しなかったのか!
福島から:一度、原子力事故を起こしたら、起こってしまったらダメだ! 最大の防災計画は原発を廃炉にすることだ。
自治体議連:当面は避難しないということを前提にする議論はあったのかどうか? 事故が起きる前に逃げる・逃げていると、そういう議論はあったのかどうか?
浜岡から:実際問題、物理的に避難は不可能だ 避難計画・訓練を嗤う(わらう)
志賀から:実際いま避難をどうするかということで一番悩んでいるのは、各基礎自治体。(原発立地地域)住民の側からあなたがたが教わるべき。基礎自治体がお手上げだって言ったらその原発は動かさないでほしい。説明を聞いても玉ねぎだ、むいてもむいても芯が無い。
川内から:原発から11.5kmに住む私はもっと遠くのところへ逃げるようになっているが、「PAZ」の人たちは家からすぐ近くのところへ逃げることになっていておかしい。火山の煙は東に流れるとしながら、川内の放射能は西(海側)に流れるとされている、おかしい。
伊方から:原子力災害対策特別措置法で初動体制は整えたということですが、これは実際には福島で機能しなかった。放射能拡散予測も提供されないしヨウ素剤服用の判断は現地で。課題発見だけで終わってしまったら変わらない。何かトラブルが起こった時に対応するために原子力災害対策指針の本体をパブリックコメントにかけなかったと言われたが、トラブルは福島第一原発で起きています。対応もできていません!
私たちが暮らしている愛媛県を含む四国は、南海トラフの巨大地震の想定震源域にほぼすっぽり入っています。伊方原発も入っています。その時の恐ろしい予測は、最大の死者数は1万2000人、全壊数19万2000棟ということ。南海トラフにかかわる地震が起こった時に、(原子力災害対策)指針があっても、四国全域がほぼ壊滅状態になっている訳です。ですから、この指針は何かトラブルが起こったとき、すでに対応できない指針なんです。現実に機能しないのであれば、それは指針を作っても私たちの命は守られない。
4 原子力安全協定について
回答:「原子力安全協定について」 原子力安全協定は原子力規制委員会でなく経済産業省資源エネルギー庁が所管している。よって、原子力規制委員会として回答を差し控えたい。 安全協定締結を条件として再稼働を規制するべきとの意見に対して、原子力規制委員会としては、原子力安全協定に関しては関与する立場ではない。
5 その他
回答:新規制基準で地域防災計画は安全性チェックの対象になっていないが、自治体として再稼働の判断をするにあたって、地域防災計画を整備することが望ましいと考えている。
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Ⅱ 原子力規制基準について 規制庁安全規制管理官付(地震・津波安全対策担当)江頭基
1 基準地震動について
回答:3次元地下構造の把握を義務付けた。ゆれや大きな地震、地表のずれ、建屋の下の変位も調べさせる。規制委の審査は事業者の調査が基本。事業者のデータをチェックする。基準地震動の試算はやっていない。近年、基準地震動を超える地震が起こり、政府がマークしていなかった活断層が大地震を起こしたことは事実。震源を特定しないが、事業者にしっかり地盤を確認させて、安全性を出来る限り評価。
参加者意見:
・基準地震動の策定にはグリーン関数を使うなど難しい計算をする。まともに動くのか? 規制庁は検査に自信があるのか?
・サイトの地下構造を調査するそうだが、外からどれだけの外力が来るか分からない。3次元地下構造モデルは、事業者任せでは信用できない、ブラックボックスと化している、実験値と合うかどうかのモデル検証もチェックできない。
・原発が既に建っているところの地下構造を調べるのは難しい。過去には事業者が誤魔化してきた、大飯は今も調査を引き延ばしている。
・規制基準が最低の基準であるはずだ。
以上