Reuters 2014年 04月 2日 12:20 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYEA3102Y20140402?sp=true
[東京 1日 ロイター] -国内の原発48基中、再稼働が展望できるのは全体の3分の1に届かない14基で、3割強の17基は不確実性を払しょくできず、残り17基は再稼働が困難とみられる──。ロイターが電力会社へのアンケートや専門家、市場関係者への取材で電力会社の厳しい状況が浮き彫りになった。3年前の東日本大震災発生前に比べ、原発は半減するとの予想も聞かれる。(中略)
再稼働ができない原発は廃炉が不可避となり、電力各社は難しい経営判断を迫られる。原発減少に伴い、どのような代替電源を確保するのかも国家的な課題になりそうだ。
<申請済み・申請時期明示は18基> (中略)
<川内原発、夏にも再稼働の公算>
規制委は3月中旬、九州電力川内1、2号(加圧水型=PWR)を「優先審査」の対象に選んだ。規制委の田中委員長は、優先対象は審査合格の見通しが立ったものとの見解だ。
安倍政権は、審査に合格した原発は、地元の了解を前提に再稼働させる方針を示している。鹿児島県の伊藤祐一郎知事はじめ立地地域から目立った反対は聞かれず、川内原発が今夏にも再稼働する可能性が浮上している。
川内1、2号が優先対象となったことで、同時期に申請した関西電力高浜3,4号と大飯3,4号、四国電力伊方3号、九州電玄海3、4号、北海道電力泊1─3号の計10基(いずれもPWR)の審査は、足踏み状態となっている。
ただ、優先審査は新規制基準における合格事例という「模範解答」を示すことで、後続の審査をスピードアップさせる狙いもあり、川内1、2号の審査が終了すれば、他の審査が加速する可能性もある。
重大事故対策に絡んで泊1─3号の審査は遅れ気味だが、もともと先行申請した原子炉は、各電力が自信を持つ主力級だ。先行組のPWR12基はどれも地元の強い反対が聞かれず、いずれは再稼働が可能とみられる。
<高経年原発に40歳の壁> (中略)
<燃えにくいケーブルの壁> (中略)
<電力経営者からも廃炉可能性の言及> (中略)
<予想困難な活断層問題> (中略)
<東電は原発を動かせるか>
東京電力は、柏崎刈羽6、7号機(BWR)の適合性審査申請で、規制委から6、7号機直下以外の破砕帯(断層)についても、敷地内外の調査・評価に関するデータの提示を求められた。現地での掘削調査などが必要となり、結論に至るまで長期化する可能性もある。
一方、福島第1原発では、2月にタンクから100トンの汚染水漏れが発生し、多核種除去装置(ALPS)の停止、作業員の死亡など足元でもトラブルが多発している。原発事故を抱える東電による再稼働に向けた審査は「他の原子炉と違い、極めて特殊な事情がある」(規制委の田中俊一委員長)とみられており、福島第1の安定化が実現しないと、柏崎刈羽の審査にも影響が出かねない。
仮に規制委が柏崎刈羽6、7号の申請に合格を出しても、東電に対して厳しい姿勢を崩さない新潟県の泉田裕彦知事が再稼働を容認するかどうか予断を許さない。
泉田知事など地元自治体の首長だけでなく、重大事故を起こした東電が原発を再稼働させることの是非をめぐっては、国民レベルでの論争に発展する可能性も否定できない。
東電の数土文夫会長(1日就任)は、3月31日の記者会見で、柏崎刈羽6、7号が再稼働しない場合、年末をめどに電気料金を再値上げするかどうかの見極めを行うとの意向を明らかにしている。
<浜岡原発めぐり住民投票あるか> (中略)
<原発半減時代の到来か> (中略)
国内48基の再稼働可能性に関するロイター調査は以下の通り。
原子炉 出力(万kw) 事業者 運転年数 審査申請・予定 再稼働の可能性
川内1 89 九州 29 優先審査中 可能
川内2 89 九州 28 優先審査中 可能
伊方3 89 四国 19 申請済み 可能
玄海3 118 九州 20 申請済み 可能
玄海4 118 九州 16 申請済み 可能
高浜3 87 関西 29 申請済み 可能
高浜4 87 関西 28 申請済み 可能
大飯3 118 関西 22 申請済み 可能
大飯4 118 関西 21 申請済み 可能
泊1 57.9 北海道 24 申請済み 可能
泊2 57.9 北海道 23 申請済み 可能
泊3 91.2 北海道 4 申請済み 可能
島根2 82 中国 25 申請済み 可能
女川2 82.5 東北 18 申請済み 可能
東通1 110 東北 8 時期未定 不確実性あり
女川1 52.4 東北 29 時期未定 不確実性あり
女川3 82.5 東北 12 時期未定 不確実性あり
柏崎刈羽1 110 東京 28 未定 不確実性あり
柏崎刈羽2 110 東京 23 未定 不確実性あり
柏崎刈羽3 110 東京 20 未定 不確実性あり
柏崎刈羽4 110 東京 19 未定 不確実性あり
柏崎刈羽5 110 東京 24 未定 不確実性あり
柏崎刈羽6 135.6 東京 17 申請済み 不確実性あり
柏崎刈羽7 135.6 東京 16 申請済み 不確実性あり
浜岡3 110 中部 26 2014年度中 不確実性あり
浜岡4 113.7 中部 20 申請済み 不確実性あり
浜岡5 138 中部 9 未定 不確実性あり
志賀1 54 北陸 20 未定 不確実性あり
志賀2 120.6 北陸 8 未定 不確実性あり
伊方2 56.6 四国 32 未定 不確実性あり
玄海2 55.9 九州 33 未定 不確実性あり
福島第二1 110 東京 32 未定 困難
福島第二2 110 東京 30 未定 困難
福島第二3 110 東京 28 未定 困難
福島第二4 110 東京 26 未定 困難
東海第二 110 日本原電 35 時期未定 困難
敦賀1 35.7 日本原電 44 時期未定 困難
敦賀2 116 日本原電 27 時期未定 困難
美浜1 34 関西 43 時期未定 困難
美浜2 50 関西 41 時期未定 困難
美浜3 82.6 関西 37 時期未定 困難
高浜1 82.6 関西 39 時期未定 困難
高浜2 82.6 関西 38 時期未定 困難
大飯1 117.5 関西 35 時期未定 困難
大飯2 117.5 関西 34 時期未定 困難
島根1 46 中国 40 未定 困難
伊方1 56.6 四国 36 時期未定 困難
玄海1 55.9 九州 38 未定 困難