新安全基準骨子案にノーの声をパブコメで(2月28日まで)
再稼働阻止全国ネットワーク 事務局
福島原発事故が起きて2年、東北地方は、地震・津波の被災に加えて、福島第一原発の事故は多大な放射性汚染を受け、生活も仕事もふるさとも奪われた。福島原発事故原因の検証も、廃炉への道筋も、放射能被害の実態も将来予想も、被災者の救済も補償も、自主避難への補償も、作業労働者の安全確保も、全く不十分な中で、いま規制委員会は「発電用軽水型原子炉施設に係る新安全基準」を本年7月施行にこぎつけて、止まっている原発の再稼働を目論んでいます。
それを止めるためには、規制委が拙速で大慌てで作成した「発電用軽水型原子炉施設に係る新安全基準骨子案」にNOをしっかり訴えることが必要です。
脱原発を願い訴えてきた皆さん、2月7日から28日まで実施されている「発電用軽水型原子炉施設に係る新安全基準骨子案」に対する意見募集(パブリックコメント)に是非是非意見を提出してください。期限はあと1週間です。
この新安全基準骨子案(東京新聞にならえば新規制基準骨子案)は、大きく3つに分けられています。
(1)新安全基準(設計基準)骨子案
(2)新安全基準(シビアアクシデント対策)骨子案
(3)新安全基準(地震・津波)骨子案
これらをしっかり読んで意見を述べるには結構労力が必要です。
そこで、皆さんが簡単に意見を書けるように、意見事例集を作成しました。これらを参考に是非是非パブコメを出してください。
(出典:GK連絡会、原子力規制を監視する市民の会、島村英紀氏ほか)
新安全基準(規制基準)骨子案に駄目だしの声を是非規制委に届けてください。
パブコメ募集案内などは次です。
「発電用軽水型原子炉施設に係る新安全基準骨子案」に対するご意見募集について
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130206.html
提出は、[新安全基準・シビアアクシデント]と[地震・津波]の2種に分けられ、
それぞれ2000文字以内の意見が書けます。
(1)新安全基準(設計基準)・シビアアクシデント対策
・意見募集用フォーム(ホームページで入力)
https://www.nsr.go.jp/ssl/public_comment/bosyu130206_1/
・提出用紙に書いて郵送/FAX
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130206/fax_anzen.pdf
郵送先 〒106-8450 東京都港区六本木1-9-9 六本木ファーストビル
原子力規制庁 技術基盤課 宛て
ファクス送付先 03-5114-2177
(2)新安全基準(地震・津波)骨子案
・意見募集用フォーム(ホームページで入力)
https://www.nsr.go.jp/ssl/public_comment/bosyu130206_2/
・提出用紙に書いて郵送/FAX
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130206/fax_taishin.pdf
郵送先 〒106-8450 東京都港区六本木1-9-9 六本木ファーストビル
原子力規制庁 安全規制管理官(地震・津波安全対策担当)付 宛て
ファクス送付先 03-5114-2182
新安全基準パブコメ 意見事例集(文責:再稼働阻止全国ネットワーク事務局)
◆新基準作成全般
- 原発を動かしてはいけない
○福島原発事故を総括すれば当然原発を動かせない
○核のゴミの処理方法が決まっていないのにゴミを増やせない
○地球中で放射能汚染が進みがんなどの疾患が増加している
- 新基準は福島原発事故の教訓を生かしていない
○福島原発事故の検証ができていない
フクイチはまだ収束せず放射能汚染の実態も海洋汚染の見込みも被災の実態も廃炉への道筋も明らかでない。これらをどう評価して新基準に行かすのかを明言するべきである。
○4つの事故調査委員会の報告を生かしていない
有識者ヒアリングはパブコメ公開後で骨子案に組み込まれていない
○国会事故調の調査を東電が隠蔽した(1号機の建屋内が「真っ暗だ」と虚偽説明)
例えば、地震の揺れが非常用復水器を壊したのか否かの究明ができていない
○多くの専門家の意見を取り入れていない
例えば、ストレステスト意見聴取会委員の意見を聞いていない
○「国民的議論」を経ていない
被災者や原発立地周辺の人々を含め多くの人々は基準骨子案のパブコメを知らない、もっと時間をかけてもっと多くの広報活動を経て実施するべきである。都道府県各地で骨子案の説明会・公聴会を実施するべきである。
○世界中の民衆の意見を取り入れていない
IAEAを含めた世界の原発推進組織でなく、世界中の人々にフクイチの事故を詫び、新基準作成主旨を知らせ、意見を聴取するべきである。
- 基準作成の時間が足りない
通常3年から5年かかる(田中委員長談)作業を10カ月でやろうとして無理をしている。世界に誇れる基準を創ると言うならばもっと時間をかけて多くの専門家の意見や「国民的議論」を経てから、基準とするべきである。
- 利益相反委員の解任
各検討チームには利益相反の疑念がある委員がいる。解任して各案を再検討すべきである。
◆設計基準骨子案について
- 立地指針について
立地審査指針は、原子炉の立地条件として、「大事故誘因となる事象が過去にも将来にもあると考えられないこと。また被害が拡大するような事象も少ないこと」が原則的に必要だと明記しており、日本列島は原発の立地条件を満たさない。実際に「全電源喪失」という事故を想定しろと指示することは「被害が拡大する事象が少ない」とは言えない。
- 最大運転期間について
一般に40年も使用し続ける機器は希少である。40年ルールを明記して徹底るべきである。
- 設計基準について
○格納容器や圧力容器や各配管の大きさや強度について設計変更の必要性を検討するべきである。
○制御棒の挿入時間、原子炉の脆性劣化についての評価をするべきである。
○フィルター付きベントについては、これを使用する場合の放射性物質漏出量を評価するべきである。
○可燃性ケーブルの使用状況を確認して不燃性に切り替えるべきである。
○多重防護が本当に成立しているのかどうかをより具体的に個々の機器の事故を想定して評価するべきである。
○変電所や送電線鉄塔の地震等による倒壊可能性について評価するべきである。
◆シビアアクシデント対策について
- 「継続的改善」で逃げるのでなく、今すぐできることを実施し、それでも安全性が保てないならば原発を動かすべきではない。
- 可搬設備と恒設設備との組み合わせをいざという時に本当にすぐに使えるかどうかを実験するべきである。
- 航空機落下・テロ対策について:
過去に起こった事故や今後起こりうる事件をより具体的に想定して、防止可能な対策を検討するべきである。また、意図的な航空機落下の他にミサイルにも備えて特定安全施設を導入するべきである。
- 大量汚染水対策について:
福島原発事故により大量の放射能汚染水を発生して世界の海を汚したばかりでなく、フクイチには既に22万トンの汚染水が貯まり毎日400トンの汚染水が蓄積されている。放射能汚染水に対する対策を付け加えるべきである。
◆地震・津波対策について
- 福島原発事故において地震による非常用復水器の破断などが起こったかどうかの評価がまだできていない。早急に調査して結果を評価してから基準を策定するべきである。
- 地震列島日本に原発はなじまない。数万年以上の管理が求められる原発や核廃棄物を考えれば、日本では原発を動かすべではない。
- 福島第一原発事故の原因となった東北地方太平洋沖地震は典型的な海溝型地震であり、原発敷地の活断層をいくら調査しても、大地震を止めることはできない。
- 日本列島では海溝型地震がいつでも起こりうる。日本付近では2003年9月に発生した千島海溝における十勝沖地震(Mw8.3、最大震度6弱)や2011年3月に発生した三陸沖の日本海溝における東北地方太平洋沖地震(Mw9.0、最大震度7)、また近い将来の発生が指摘されている駿河トラフにおける東海地震が例として挙げられ、東南海・南海沖の南海トラフ、根室沖の千島海溝などでも発生する。関東大震災の原因となった関東地震(M7.9)も相模トラフがずれ動いた地震で海溝型地震である。
- 基準地震動が小さすぎる。津波高さと同様に地震動も過去に原発が経験した最大地震動を想定するべきだ。柏崎刈羽原発は2007年に1699ガルを経験した。これを基準地震動の下限とするべきだ。
- 活断層だけが直下型地震を起こすのではない。
阪神淡路大震災(1995年)や鳥取県西部地震(2000年)で明らかなように活断層がないところでも直下型地震が起こる。また、福岡県西方沖地震(2005年)、能登半島地震(2007年)、新潟県中越沖地震(2007年)が示すように、海底下に震源がある直下型地震も起きる。また、千葉県北西部地震(2005年)、岩手・宮城内陸地震(2008年)も活断層がないとされていたところで起こった。
- 日本の陸上に約2000個の活断層が知られているにもかかわらず、政府が調査しているのは「都市部に近く、地震が起きたときの影響が大きいと予想される」約100個の活断層だけである。海底には見つかっていない活断層があり研究が進めばまだ増える。
- 活断層の定義を従来通りの「12~13万年以降」としているが、「40万年以降」とすべきである。例えば、中国の四川大地震(2008年、M7.9)を起こしたかも知れないとされる竜門山断層は6500万年前から地震を起こしていない活断層である。
- 全ての原発について、主要な施設や建物の直下ないし近接地に活断層が無いことを確認するべきである。
以上