Category Archives: レポート、アクション、ほか

10月2日に開かれた「福島原発の汚染水対策について院内集会・署名提出と政府交渉」(呼びかけ:グリーン・アクション、FoEなど10団体)の参加報告を紹介します。(事務局)

【開催概要】
日時 2013年10月2日(水)13:00~16:30
会場 参議院議員会館 講堂
交渉相手 ─── 原子力規制庁/経済産業省
各地より発言 ─── 福島・いわき市漁業組合 漁師さん、伊方・大野さん、新潟・金子さん、浜岡・鈴木さん、玄海・荒川さん

以下、伊方から参加(発言)した大野さんの報告です。

10月2日の参議院会館での院内交渉に参加し、3日夜に帰ってきました。

「美浜の会」の小山英之先生や島田さん、アイリーンさん、阪上さん、満田さん等の周到なご準備と、鋭い追及に、政府担当者はたじたじで、何度も「検討中です。」というばかり。全てが破滅し、国民が被ばくしつくすまで検討するつもりか、とやりきれない思いになりました。

一番衝撃的だったのは、小山先生が資料に入れてくださっていた、四国電力が伊方3号炉再稼働申請時に出した申請書の内容です。

◆事業者の対策(設置変更許可申請書)に求められていること
基準規則第五十五条(工場等外への放射性物質の拡散を抑制するための設備)
発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷及び原子炉格納容器の破損または貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷に至った場合において工場等外への放射性物質の拡散を抑制するために必要な設備を設けなければならない。
解釈:e) 海洋への放射性物質の拡散を抑制する設備を整備すること

◆それに対して伊方3号再稼働申請書に書かれていること
「b. 排水設備の隔離、土嚢の設置及びゼオライトによる放射性物質濃度低減措置等により海洋への放射性物質の拡散を抑制する手順等を整備する」

土のうの設置?すぐにピンとは来なかったのですが、小山先生の説明でわかりました。格納容器内でメルトダウンに至った場合(著しい損傷)、上からシャワーのように水をかけ冷却する、結果できた放射能汚染水が海に流れ込まないように排水設備を作ったり土のうを積むということなのです。

台風時に海水が家に流れ込まないように土のうを積むということはよく見てきましたが!

伊方原発敷地は山がすぐ後ろにあり、面積に余裕が無く、福島のように汚染水タンクがいくらも置けません。だからと言って・・・土のうで放射能汚染水をとめるというのです。これこそ原始的!げんしりょく!
あまりのいい加減な申請内容に怒りが爆発し、叫んでしまいました。

「土のうでとめれるのか、誰が汚染水が流れてる中、土のうを積みに行くのか!伊方原発環境安全管理委員会に出席した規制庁の職員が、委員から質問されたのに対し、3人しか規制庁職員が常駐していないので全てを監視することはできない、絶対安全かと言われると、それは言えない、と言っているのを傍聴した。安全を保障できないのなら伊方原発に調査に来ないでください。福島に行って全力を尽くしてください!」
等々、何を言ったか支離滅裂だったと思うのではっきり覚えていないのですが・・・

「国民の命を守る仕事をしているあなた方は伊方原発現地を見たことがあるのですか!机上ではなく現場を見て伊方を歩いてください!」とも。それに対し、前に並んだ3人の規制庁職員は
「私たちはBWRの担当で、PWRの担当ではないので行っていません。職員には伝えます」と言うだけで何も答えてくれませんでした。

確か数千ページに及ぶ申請書だとおもいます。その中から、このようなことを指摘できる方は多くないだろうと、改めて小山先生達の知力と執念に感動しました。私たちがこのことを生かしていかに闘うか・・・みんなで知恵を集めましょう。ご意見をお寄せください。

交渉の後、新潟の金子さんや佐賀の荒川さん、主催者の皆さまと参議院会館地下食堂で夕食を取りながら歓談、励ましていただきました。その後、東京電力本社前へ急行。

「柏崎刈羽原発の再稼働反対、汚染水とめろ!」抗議行動(18:30~20:00)に参加しました。経産省前テントひろば、首都圏反原発連合、たんぽぽ舎、東電株主代表訴訟の4団体主催です。約400名の参加とか。すごいエネルギーが充満していました。

遅れていったのですが、12月1日「NO NUKES えひめ」集会の広報もさせてもらいました。院内集会でも暫定チラシを配布しました。集会ゲストで来て下さるミサオ・レッドウルフさんにもご挨拶できました。数人から行きたいと思うとのお声かけがありました。

翌日3日は、高木章次さんからお話しをいただいている「伊方原発再稼働をとめるためのマンガパンフ」作成の参考に、愛媛の状況を知りたいと言われ、お会いしてさまざまお伝えしました。
9月に小倉正さんが東京で講演されたのを聞いておられるので(素晴らしい講演資料も持っておられ)、正確に理解されているようでしたが(私では話せない!)、近いうちに取材のため伊方に来られるとのことでした。

10月8日(火)の愛媛県議会最終日に、阿部悦子議員が「伊方原発をとめる会」が出した「伊方原発の再稼働を認めないように」という旨の請願不採択に対し、反対討論をします(11時頃からです)。5分間という制限時間ですが・・・。

四国電力社員もいつものように多数傍聴すると思います。
私たちも関心の高さを示すべく意思表示のために傍聴に行きましょう!

大野恭子

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◆原子力規制を監視する市民の会 10月2日 報告

◆政府交渉の模様(撮影:UPLAN)

10/5開催の泊集会に向けて作成・配布した「全国各地の闘い─連帯して原発再稼働を阻止しよう!」のチラシを紹介します。(事務局)

全国各地の闘い─連帯して原発再稼働を阻止しよう!(PDF)

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【地域の活動紹介】
9月27日 緊急抗議行動!
原子力規制委員会による玄海原発3・4号機への現地調査抗議

9月27日(金)あさ7時~9時、玄海原発ゲート前において、玄海原発プルサーマル裁判の会など市民50人が現地調査に対する抗議行動を行いました。抗議および質問書は、現地入りした原子力規制委員に手渡ししたいと数日前から交渉していましたが、当日まで返答はなく、ゲート前で対応した九州電力職員は「(規制委に)渡します。」と口にしたものの、後日確認してみると、規制委では「いちいち対応していられない」というごう慢な返答があったとのこと。当日現地で対応した九電職員は、市民グループから受領した文書を委員に手渡したのでしょうか、どこか机上に放置しているのでしょうか。(事務局 所感)

以下、当日読みあげられた「抗議と質問」を紹介します。

2013年9月27日
原子力規制委員会
委員長 田中俊一様

玄海原発再稼働のための現地調査に対する抗議と質問

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 共同世話人 野中宏樹

 東京電力福島第一原発は今なお事故が収束しておらず、原因究明・責任追及もなされていません。さらに、放射能汚染水漏れ事故は抜本的解決策がないまま、海を汚しつづけています。

 原子力規制委員会はすべての力を、福島原発事故収束に投入すべきです。こうした深刻な緊急事態の最中に、玄海原発の再稼働のための現地調査に時間を割いていることに対して遺憾の意を表明し、強く抗議します。

 規制委員会の「活動原則」には「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」とうたわれています。その言葉通りならば、国民の意見に耳を傾け、以下の質問に対し、真摯に具体的な回答をいただくことを求めます。2週間以内に回答ください。

  1. 福島原発事故はまだ終わっていません。原因究明も不十分なもとで、「福島のような事故を防止するための基準を策定することは可能」と、なぜいえるのでしょうか。明確な理由をお答えください。
  2. 玄海で福島と同様の事故が起きた時に、汚染水問題が発生します。この重大な問題への対処方法は確立していないように思えます。対処方法さえ分からないのに、なぜ再稼働の是非が審査できるのか、その根拠を回答ください。
  3. 福島事故以前は「放射能は絶対に出さない」ことになっていましたが、新基準では放射能放出を認めるなど、規制が緩くなっています。たとえば「ベント」はフィルタ付であっても、希ガスなどは素通りしていきます。「爆発を防ぐため、膨大な放射能を出すから、覚悟してください」ということを、立地自治体のみならず、影響を受けるすべての住民に具体的に知らせ、了解を得るべきと考えますが、いかがですか。また、住民の健康安全を最優先するための立地審査指針などの規制を事故後に緩和した理由を回答ください。
  4. 先日の規制委員会と九州電力とのやりとりの中で、九電は過酷事故時に「原子炉圧力容器には何も処置しないで、核燃料をメルトダウンさせる」方針だということが判明しました。福島事故の教訓を何も学ばない九州電力に、私たちはあきれかえるばかりです。委員の皆さんが、九電の姿勢に追随するはずはないと思っていますが、「世界最高水準の安全基準」を掲げる規制委員会は、放射能を絶対に出させないように、九電にどのように指導するのですか。明確に回答ください。
  5. 今回のような国民の抗議や不安の声を、委員長のあなたはどのように受け止めますか。そのお気持ちを具体的な言葉で表し、どのような姿勢で原発事業者に臨み国民の不安を払拭してくれるのか、また想定外を無くし二度と事故を起こさないために、決して急がず万全な規制をどのように実行に移してくださるのかをお示しください。
20130927_genkai

 

カネの為の再稼働、断じて許さない!
東電の安全審査申請徹底糾弾! 柏崎刈羽からの緊急アピール

平成25年9月27日(金)
柏崎原発反対地元三団体
文責 刈羽村議会議員 近藤容人

 東電は、福島「大」原発事故(レベル7)のあとしまつも、汚染水の新たな事故(レベル3)処理も、そして被災者の救援も全く行わない、メドすら立たない、にもかかわらず、柏崎刈羽原発6・7号機の安全審査申請を行いました。

 これは、金の為であり、「電力の安定供給の為」などと言うのはまっかなウソです。

 東電は、10月に約800億円の融資借り替えをひかえており、これができなければ、一挙に破綻してしまう恐怖にかられての暴挙です。東電はもはや完全に追い詰められガケップチに立たされているのです。我々柏崎刈羽の住民は、東電の「インペイ」「カイザン」「ネツゾウ」に何度も何度も泣かされ、煮え湯を飲まされてきました。我々住民は絶対東電を許しません!

 
 『東電きょう審査申請、知事は条件付きで承認、ベント協議は継続』これは、9月27日(金)の新潟日報一面トップの記事です。「承認」とは東電が規制委に安全申請を行うことと、ベント協議を同時並行的に行うことを認めはしましたが泉田知事は安全協定に基づく事前了解を与えたのではありません。ただ、安全審査申請を『承認』 したことは、東電にとっての一歩前進であり、このことに対しては極めて残念であります。遺憾千万であります。これは、行政の長としての限界であり、我々運動サイドの弱さ、又、右翼安倍政権の強力な恫喝の結果であります。

 我々は、知事を見捨てるのではなく、我々の運動の内容を点検し、国民の85%が脱原発という潜在的だが圧倒的な力を組織し、そのエネルギーをひきだし、知事を更にひきつづき支えてゆくべきと考えます。知事は『福島の事故の検証が終わらない限り再稼働の議論はない』と一貫して主張しており、『県技術委員会に東電に入ってもらう、 東電が修正に応じなければ、今回の承認は無効となる』とも主張しています。安全協定の尊重を東電に認めさせ、更に踏みこんで、『住民の被ばくがどんな状況でも、絶対避けられることが必要だ』、事前了解を与える最低の条件をこの様に断言している。

 申請により、4号機以外他の全ての号機真下の活断層が焦点となります。規制委や東電を監視し、デタラメな結論を出させないようにする為にも大衆運動の強化拡大が必要です。

 地震国日本、いつどこで、M8(震度6)以上の地震が来ても不思議ではない。特に福島第一をおそったらどうなるだろう。

東電を絶対許さない!
我々は、福島を忘れない!
福島と連帯して闘います!
全国の現地住民と連帯して最後まで闘います!

【地域の活動紹介】(伊方廃炉ネットMLから)

 エネルギーシフト:脱原発を考える場合、原発利権(財源)に依存してきた組織(自治体など)に関する、自立に向けた配慮、提案が大変重要になります。

 それは自治体経営と地域経済の深刻な問題であり、その当事者にとっての深刻さの度合いは、原発の危険性をかすませる程のものと思われるからです。原発現地に住み自治体関係者や地域の有力者との付き合いがないと、なかなかその(当事者にとっての)深刻さは理解し難いかもしれません。
 しかし、こうした観点も気にして理解・対応していかないと、原発立地地域の政策転換を実現するのは難しいでしょう。

 以下に、国内(美浜町)の参考になる取り組みと、柏崎市議、新潟県議らによるドイツの廃炉後の(地域振興策の)視察報告を紹介します。

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◎国内事例(合意形成に関する提案を含む)
 森と暮らすどんぐり倶楽部
 http://www1.kl.mmnet-ai.ne.jp/~donguri-club/
  → 環境エネルギー政策研究所提案(PDF)
  → 森と暮らすどんぐり倶楽部政策提案(PDF)

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◎ドイツの事例(廃炉後の実例)
 脱原発社会の実現・ドイツの脱原発政策と廃炉後の地域振興策

 参考:7月28日、中越沖地震6周年原発ハイロ県民集会(柏崎市で開催)
 http://sayounaragenpatsu.blogspot.jp/2013/07/blog-post.html
 (共催 県平和運動センター、原発からいのちとふるさとを守る県民の会)

 集会案内(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 http://blog.goo.ne.jp/s_kkgpj/e/8491a3cf9241c2e892cee59e1ac6e7a4

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「再稼働より汚染水対策!」9・11規制委員会前抗議行動
 9・11規制委前抗議行動に多数の参加を! 怒りの声を叩きつけよう!

日時 9月11日(水)12時~13時
場所 原子力規制委員会ビル(六本木ファーストビル)前
アクセス 南北線「六本木一丁目駅」徒歩4分 http://www.nsr.go.jp/nra/map.html
主催 再稼働阻止全国ネットワーク
協力 原子力規制を監視する市民の会

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フクイチ事故は拡大している!
東電・福島第一原発の大量の汚染水流出問題は、規制委自らレベル3の重大な異常事象と確認する非常事態となっている。フクイチ事故は収束どころか、「レベル7+3」へと拡大している。

海に流れ込む大量の高濃度汚染水=毒の水は、福島をはじめとする東日本の漁民を恐怖と絶望へ陥れているのみならず、今では全地球的問題として海外メディアも注視している。一刻の猶予もならない、いま現在、日本の最大問題なのだ。

規制委は汚染水問題に責任を負え!
規制委は発足以来、この問題に見て見ぬ振りをしてきた。だから規制基準の中に汚染水対策は一言も盛られていない。そしてこの問題が重大問題として明るみに出たとき、田中委員長の発言は、人ごとのような海洋投棄を容認するものだった。
原発の安全と事故に責任を負うと自負する規制委は、今この汚染水問題に全面的に責任を負って、全力で取り組むべきだ。

再稼働適合審査を中止して、全人員を汚染水対策に注ぎ込め!
汚染水問題が非常事態となっている今も、規制委はその対策よりも再稼動推進のために適合審査を急いでいる。人員配置も適合審査には約100名を配置し、さらに増員を予定しているが、フクイチにはたったの50人(現地には10人)しか配置していない。
事故が拡大している事態の中で何が再稼働審査だ!今はそのすべての人員とエネルギーを汚染水対策、そして事故収束に向けるときだ!一丸となって新チームを作って、現場にはりつくべきだ!
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【地域の活動紹介】
「原発いらない福島の女たち」2014年度版カレンダー 受付を開始しました!

「原発いらない福島の女たち」2014年度版カレンダーを作成し、販売することになりました。
女たちの活動を記録すると共に、収益の一部は活動費にあてられます。
行動する女たちの写真がたくさん入った、月めくりのものになる予定ですので、
なにとぞご支援くださいますよう、お願い申し上げます。
詳細 http://onna100nin.seesaa.net/article/370258639.html

■発行: 原発いらない福島の女たち
■制作協力: 梨の木舎
■申し込み書: おんなカレンダー申し込み書(PDF)

 頒価:1部1,000円+送料(10部以上は1部800円、送料無料)
 <申込先>
  原発いらない福島の女たち:070-5018-7478(黒田)
  梨の木舎:Mail nashinoki-sha@jca.apc.org Fax 03-3291-8090

愛媛県HP 審議会等開催あんない
http://www.pref.ehime.jp/h12200/singikai/osirase.html

◆愛媛県 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会 原子力安全専門部会
7月17日(水曜)13時30分から
リジェール松山 7階 ゴールドホール(松山市南堀端町2-3)
問い合わせ 県民環境部 防災局 原子力安全対策課
Tel.089-912-2352 Fax.089-931-0888
詳細 http://www.pref.ehime.jp/h12200/singikai/documents/anzenbukai.pdf

◆愛媛県 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会
7月19日(金曜)13時30分から
リジェール松山 7階 ゴールドホール(松山市南堀端町2-3)
問い合わせ 県民環境部 防災局 原子力安全対策課
Tel.089-912-2352 Fax.089-931-0888
詳細 http://www.pref.ehime.jp/h12200/singikai/documents/kanriiinkai.pdf

◆愛媛県 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会 環境専門部会
7月19日(金曜)10時00分から
リジェール松山 8階 クリスタルホール(松山市南堀端町2-3)
問い合わせ 県民環境部 防災局 原子力安全対策課
Tel.089-912-2352 Fax.089-931-0888
詳細 http://www.pref.ehime.jp/h12200/singikai/documents/kankyoubukai.pdf

伊方原発環境安全管理委員 様

2013年7月13日
原発さよなら四国ネットワーク
事務局 大野恭子

伊方原発の再稼働を認めないことへのお願い

 伊方原発環境安全管理委員のみなさまにおかれましては、委員としての重責を担っておられることに敬意を表し感謝を申し上げます。

四国電力が7月8日、原子力規制委員会に伊方原発再稼働の申請をしたのを受け、貴委員会で審議されると聞きました。そこで是非、私ども市民の意見や思いをお伝えしたく手紙と資料を送付させていただきました。よろしくご検討ください。

 福島原発事故は2年4ヶ月たった今、収束はおろか、事故原因の特定さえできていません。当初「津波による電源喪失」を初発の原因としていた東京電力も、今では「地震の揺れによる配管の破壊」を否定できなくなっています。
 また、連日報道されるように、福島第1原発の観測用井戸から高濃度の放射性物質が検出され、汚染は私たちの暮らす自然界で広範囲に広がり続けていることが実証されています。

 このような中、政府は着々と福島県民に対し避難解除をし、賠償も次々と打ちきっています。住民の声が一切聞かれないまま、兵糧攻めのようにして「帰還」が進められているのが現実です。
 取り返しのつかない「ふるさとの喪失」、電力会社の不誠実なデータ隠し、国の「棄民政策」が続く現状で、四国電力の伊方原発再稼働申請を、私たちは許すことはできません。
フクシマの人々の苦悩を無かったかのようにするこの振る舞いに、恐怖すら感じています。
ひとたび事故が起きれば、私たちの暮らす「エヒメ」も「フクシマ」になるからです。

以下に私たちの危惧する伊方原発の問題点を挙げさせていただきました。
是非、貴委員会でご審議いただきますようよろしくお願いいたします。

1.「活動期にある中央構造線系活断層 – 伊方原発沖6km」

 高知大学の岡村眞教授(内閣府中央防災会議の地震・津波専門委員、南海トラフの巨大地震モデル検討有識者会議委員)は、先月6月30日の講演会で、この活断層の長さはトータルで650kmなのに、四国電力は360kmで地震動の想定をしている、右横ずれ断層で伊方原発は震源域の真上に位置している、動けばM8以上と予測、四国電力の想定は甘すぎる、大変危険と警告を発しました。

2.「周期的に起きる南海トラフ地震」

 岡村氏は、過去にはM8.6とM8.4の南海トラフ地震の記録があるのに、前回(1946年)はM8.0と小さかったので、今度は過去最大のM9を予想している、と述べられました。2012年の中央防災会議で震源域が広がり伊方原発も入っている、伊方原発は最大地震動570ガルだが、最近は計測機器の精度向上により1000ガル以上がバンバン起きていることが計測可能になり明らかになってきた、2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震で観測された最大加速度は4022ガルで、国の「防災科学技術研究所」が世界で観測された最大値であるとギネスに申請し認定された(2011年1月発表)、大きな地震動になると制御棒が入らない可能性がある、と述べられました。
 
3.「津波への警告」

 都司嘉宣(つじよしのぶ)氏―東京大学地震研究所を定年退職―は、昨年7月29日の講演会で、1596年の慶長豊予地震は中央構造線と連動し伊方付近でも震度6強~7程度の揺れがあった可能性がある、佐賀関の神社が流出したことなどから10.6メートルの津波が推定される、伊方は中央構造線の断層により近いことから、10~15メートルの津波が襲った可能性がある、と指摘されました。南海トラフによる地震については「本震」よりも「余震」で強い揺れが記録されており、中央構造線活断層帯とつながった恐れがあることも指摘されたのです。
 以上のような、最新の知見からして、マスコミが言っている「伊方原発には地震・津波のリスクが少ないので再稼働一番手」という指摘は全くの認識不足であるとしか言えないのです。

4.「中村愛媛県知事の答弁」

昨年6月の県議会で、「動かしても動かさなくても原発はあるのだから危険性は変わらない」旨の答弁を知事はしましたが、稼働中の原発が事故を起こした場合、燃料棒の核分裂生成物が引き続き崩壊する際の崩壊熱が多いため、その温度を下げねばならず、停止中の場合と比較にならない程のエネルギーと作業を要すること、また、炉心溶融などの過酷事故に短時間で移行することは科学的事実です。

5.「プルサーマル運転」

 再稼働を申請している3号機は、プルサーマル運転を行う炉であり、そのMOX燃料には猛毒のプルトニウムが含まれており、事故が起きた場合、ウラン燃料の何倍ものプルトニウムを放出すること、また、使用済みMOX燃料は処理方法も保管場所も決まっておらず伊方原発サイトが超危険な「核のゴミ捨て場」となります。
 ウランのみならず溜まり続けるプルト二ウムは、過酷事故時に放出され、収束不可能な放射能被害をさらに拡大することは、福島原発事故がはっきりと証明しています。

6.「瀬戸内海に面している」

伊方原発は、瀬戸内海という世界有数の生物多様性をもつ閉鎖系水域に面して建てられており、過酷事故が起きれば、瞬時に瀬戸内海が汚染され、そこに棲む多くの生物が被曝すること、また閉鎖性水域であるため、汚染物質が長く溜まり続けることになり、西日本の食糧庫は壊滅的被害を被ることになります。

7.「充分な原子力防災計画が立てられていない」

 昨年9月、愛媛県の防災訓練では、佐田岬半島西側住民の救助のためにヘリコプターと船を用意したのですが、強風と雨のためにヘリコプターは飛ばず、船も岸壁につけられず、結局「救助」できませんでした。
 原発災害は、穏やかな晴天で、海に波もない時を選んで起こるとは思えません。放射能は、風向きによっては短時間で地域を汚染します。原発の西側20km圏内に暮らす住民約5000人の防災・救出計画は、実効性がないと言わざるを得ません。県は住民を見殺しにすると言っているようなものです。
 また、愛媛県は、伊方原発から半径30km以内の地域をUPZ(緊急時防護措置を準
備する区域)として原子力災害対策重点地域として計画を立てていますが、7市町(山口県を入れると8市町)の13万5000人がどのように逃げられるのか、明記されていません。そもそも被害想定が甘く、30km圏内の外の県民の防災対策は完成していないという実態です。
 先日の私たち市民グループと原子力規制委員会との交渉(7月8日)で明らかになったことですが、防災と「原子力規制」はリンクしておらず、防災はあくまで地方自治体の責任であり国はそれを支援する立場だ、ということでした。

 以上、問題点を一部述べさせていただきました。

 これまで私たちが行ってきた要請や申し入れの際、対応した四国電力社員は、私たちの質問に対して「(原発が)絶対に安全であるとは言えない」と答えています。それなのになぜ「安全を前提に再稼動する」と言うのでしょうか。フクシマで起きたことが伊方で起きないと、何故言えるのでしょうか。フクシマと伊方の違いは、フクシマは巨大地震に襲われ、伊方は未だ(・・)襲われていない、ということだけではないでしょうか。

 委員の皆様には、それぞれ専門分野がおありのことと思います。しかし、フクシマが私達に教えてくれたのは、自然は「専門分野の想定」を越えるということです。フクシマの災厄を経験した私たちは、専門分野を越え、「いのち」の上に立って知恵を出し合うべきです。
 私たちは、「再稼働しない」ことこそ今できる最高の、環境安全管理だと考え、委員の皆様の公正と信義を信頼して「再稼働を認めないこと」をお願いする次第です。

以上

【地域の活動紹介】[たんぽぽ舎メルマガTMM:No1898(2013/7/12)、TMM:No1899(2013/7/13)より]

大飯原発の再稼働に抗議の声を上げ続け、
次の「伊方原発再稼働」と闘おう!
豊かな命をはぐくむ海を守る闘い、イカナゴという小魚

(井出久司 原発さよなら四国ネットワーク)
 私達は伊方原発のある四国愛媛からやって参りました。原発さよなら四国ネットワーク愛媛のメンバーです。私自身はこの大飯に来るのは2度目、彼女達は3度目です。前回来た時に感じたことは、ここも原発さえなければ本当に風光明媚な良い所だなあ、ということです。自然が豊かで、帰りのバスに乗る時にふと岸壁から海の中を見ると、瀬戸内海側で激減している巻貝の仲間がものすごくたくさんいたことに感動しました。この貝は特に伊方原発周辺では温排水の影響もあって、著しく減少しているため、この若狭湾の豊かさを実感することができました。
 しかし、この若狭湾沿岸は別名、原発銀座とも呼ばれ、たくさんの原発が密集し豊かな自然環境を破壊し、住民の方々をはじめ、この地域に生きる全ての生命の安全を脅かしてきました。一部の者の利益の為だけに、国策の名のもとに行われた原子力政策が、この地域で最も大切な本来守らねばならない宝物である固有の自然環境を、そこに住む全ての者の生命を、安全な暮らしを脅かしてきたことは決して許されるものではない、と考えます。
 私たちが住む愛媛県にも伊方原発が存在しています。全国で唯一の内海に面した場所にある原発です。目の前には瀬戸内海という世界有数の生物生産力と生物多様性を誇る宝の海です。このかけがえのない、世界に誇るべき宝の海とそこに棲む夥しい生き物の生命を放射能汚染や温排水の害にさらしながら、伊方原発は存在しています。
瀬戸内海は言うまでもなく、閉鎖性海域です。それゆえに大変豊かですが、それゆえに汚染に非常に弱いということが問題です。さらに、瀬戸内海の豊かな生物生産力を支えている生き物が存在します。それはアラメ、ワカメ、ヒジキ、ホンダワラ等の褐色の海藻であり、これらは人間の食料にもなりなすがアワビ、サザエ、ウニ等の餌として非常に重要であるばかりでなく、小さなエビ類をはじめとする小動物の生息場所となり、そのため、魚の産卵場所、そして稚魚の成育場所や隠れ家になっています。
 また、イカナゴという小魚がいます。これは関東ではコウナゴとも呼ばれ、福島での事故後、高い放射能汚染が認められて有名になりましたが、このイカナゴはメバル、カサゴ、マダイ、ヒラメ、サワラ等の餌として瀬戸内海の生態系を支える非常に大切な種です。が、この褐藻類やイカナゴは冷たい海水を好みます。イカナゴは夏の高水温期には砂の中に潜って、眠っている位です。従って原発が排出する膨大な量の温排水が温暖化を促進し、これらの生き物の生存や繁殖を脅かし、瀬戸内海の生物資源を枯渇させてきたことは間違いありません。さらにこの温排水はヒートショックや消毒によって海水中の夥しい数のプランクトンを殺していますが、このプランクトンの中には魚の稚魚や卵、アワビ等の貝類やエビ、カニ等の甲殻類やタコやイカの幼生をたくさん含んでいます。
1990年代に発生した目に見える大きな魚の大量死も問題ですが、それだけが原発による被害だと思っては決してなりません。このような例は外洋に面している川内原発周辺でも同様に観測されています。若狭湾でも同様のことが起こっていると推測されますがいかがでしょうか。
 私たち人間もこれらの小さな生き物と同じで生態系を構成している数多くの生物種の中の1つの種であることを決して忘れてはなりません。呼吸し、水を飲み、食べ物を食べなければ生きてはいけません。従って自然環境をこそ守らなければなりません。
 あらゆる生命体は核(放射能)とは共存することはできない、というのは生物学においては常識です。また日本が世界有数の地震国であることも常識です。
 最近、南海トラフの地震の話題ばかり出てきますが、伊方原発の目の前、約6キロメートルの所に日本最大の断層帯と言われる中央構造線が走っています。約400年前の慶長年間に中央構造線は大地震を起こし、瀬戸内海側にも巨大な津波が襲っています。
 東北地方の大地震と巨大津波が歴史に残っているように、瀬戸内海沿岸地方においても、大地震、巨大津波は予測できない事ではありません。にもかかわらず、国や電力会社はこの事実はなかったことにして、自分たち推進派の都合のよいようにデータを評価し、原発再稼働を目論んでいます。
 昨年、ここ大飯原発は多くの人々の反対の声を無視して、強圧的に再稼働させられました。しかし、あらゆる科学的分野から考えてみても、原発の安全神話は決して成り立たない、全く科学的根拠のない、机上の空論であることを福島の事故が証明しました。真実はチェルノブイリやスリーマイルが教えてくれていたのです。それを愚かな国や電力業界が無視してきた結果、福島の事故が起きてしまったのです。私たちは、現政権の再稼働強硬路線政策に対し、知識では福島に、そして再稼働を阻止する活動は昨年の大飯に学び、この夏以降の再稼働の嵐に立ち向かわなければなりません。しかも各現地がそれぞれ独立して闘うのではなく、共に手を取り合って闘わなければなりません。
 私達、伊方原発反対を闘う者も、ここ大飯についても共に、声を挙げ、闘いたいと思います。伊方原発が再稼働の一番であろう、とも言われていますが、大飯原発は既に稼働しています。まず、この大飯の稼働に対し、全国団結して抗議の声を挙げ、次いでこれからの原発再稼働の嵐に立ち向かっていかなければなりません。
皆さん、いざ決戦の秋は来たれり!共に団結し共に戦い抜きましょう。

全ての原発の再稼動を止めることは生きとし生けるもの全ての生命と未来を守ることになるのです。