【地域の活動紹介】[たんぽぽ舎メルマガTMM:No1898(2013/7/12)、TMM:No1899(2013/7/13)より]

大飯原発の再稼働に抗議の声を上げ続け、
次の「伊方原発再稼働」と闘おう!
豊かな命をはぐくむ海を守る闘い、イカナゴという小魚

(井出久司 原発さよなら四国ネットワーク)
 私達は伊方原発のある四国愛媛からやって参りました。原発さよなら四国ネットワーク愛媛のメンバーです。私自身はこの大飯に来るのは2度目、彼女達は3度目です。前回来た時に感じたことは、ここも原発さえなければ本当に風光明媚な良い所だなあ、ということです。自然が豊かで、帰りのバスに乗る時にふと岸壁から海の中を見ると、瀬戸内海側で激減している巻貝の仲間がものすごくたくさんいたことに感動しました。この貝は特に伊方原発周辺では温排水の影響もあって、著しく減少しているため、この若狭湾の豊かさを実感することができました。
 しかし、この若狭湾沿岸は別名、原発銀座とも呼ばれ、たくさんの原発が密集し豊かな自然環境を破壊し、住民の方々をはじめ、この地域に生きる全ての生命の安全を脅かしてきました。一部の者の利益の為だけに、国策の名のもとに行われた原子力政策が、この地域で最も大切な本来守らねばならない宝物である固有の自然環境を、そこに住む全ての者の生命を、安全な暮らしを脅かしてきたことは決して許されるものではない、と考えます。
 私たちが住む愛媛県にも伊方原発が存在しています。全国で唯一の内海に面した場所にある原発です。目の前には瀬戸内海という世界有数の生物生産力と生物多様性を誇る宝の海です。このかけがえのない、世界に誇るべき宝の海とそこに棲む夥しい生き物の生命を放射能汚染や温排水の害にさらしながら、伊方原発は存在しています。
瀬戸内海は言うまでもなく、閉鎖性海域です。それゆえに大変豊かですが、それゆえに汚染に非常に弱いということが問題です。さらに、瀬戸内海の豊かな生物生産力を支えている生き物が存在します。それはアラメ、ワカメ、ヒジキ、ホンダワラ等の褐色の海藻であり、これらは人間の食料にもなりなすがアワビ、サザエ、ウニ等の餌として非常に重要であるばかりでなく、小さなエビ類をはじめとする小動物の生息場所となり、そのため、魚の産卵場所、そして稚魚の成育場所や隠れ家になっています。
 また、イカナゴという小魚がいます。これは関東ではコウナゴとも呼ばれ、福島での事故後、高い放射能汚染が認められて有名になりましたが、このイカナゴはメバル、カサゴ、マダイ、ヒラメ、サワラ等の餌として瀬戸内海の生態系を支える非常に大切な種です。が、この褐藻類やイカナゴは冷たい海水を好みます。イカナゴは夏の高水温期には砂の中に潜って、眠っている位です。従って原発が排出する膨大な量の温排水が温暖化を促進し、これらの生き物の生存や繁殖を脅かし、瀬戸内海の生物資源を枯渇させてきたことは間違いありません。さらにこの温排水はヒートショックや消毒によって海水中の夥しい数のプランクトンを殺していますが、このプランクトンの中には魚の稚魚や卵、アワビ等の貝類やエビ、カニ等の甲殻類やタコやイカの幼生をたくさん含んでいます。
1990年代に発生した目に見える大きな魚の大量死も問題ですが、それだけが原発による被害だと思っては決してなりません。このような例は外洋に面している川内原発周辺でも同様に観測されています。若狭湾でも同様のことが起こっていると推測されますがいかがでしょうか。
 私たち人間もこれらの小さな生き物と同じで生態系を構成している数多くの生物種の中の1つの種であることを決して忘れてはなりません。呼吸し、水を飲み、食べ物を食べなければ生きてはいけません。従って自然環境をこそ守らなければなりません。
 あらゆる生命体は核(放射能)とは共存することはできない、というのは生物学においては常識です。また日本が世界有数の地震国であることも常識です。
 最近、南海トラフの地震の話題ばかり出てきますが、伊方原発の目の前、約6キロメートルの所に日本最大の断層帯と言われる中央構造線が走っています。約400年前の慶長年間に中央構造線は大地震を起こし、瀬戸内海側にも巨大な津波が襲っています。
 東北地方の大地震と巨大津波が歴史に残っているように、瀬戸内海沿岸地方においても、大地震、巨大津波は予測できない事ではありません。にもかかわらず、国や電力会社はこの事実はなかったことにして、自分たち推進派の都合のよいようにデータを評価し、原発再稼働を目論んでいます。
 昨年、ここ大飯原発は多くの人々の反対の声を無視して、強圧的に再稼働させられました。しかし、あらゆる科学的分野から考えてみても、原発の安全神話は決して成り立たない、全く科学的根拠のない、机上の空論であることを福島の事故が証明しました。真実はチェルノブイリやスリーマイルが教えてくれていたのです。それを愚かな国や電力業界が無視してきた結果、福島の事故が起きてしまったのです。私たちは、現政権の再稼働強硬路線政策に対し、知識では福島に、そして再稼働を阻止する活動は昨年の大飯に学び、この夏以降の再稼働の嵐に立ち向かわなければなりません。しかも各現地がそれぞれ独立して闘うのではなく、共に手を取り合って闘わなければなりません。
 私達、伊方原発反対を闘う者も、ここ大飯についても共に、声を挙げ、闘いたいと思います。伊方原発が再稼働の一番であろう、とも言われていますが、大飯原発は既に稼働しています。まず、この大飯の稼働に対し、全国団結して抗議の声を挙げ、次いでこれからの原発再稼働の嵐に立ち向かっていかなければなりません。
皆さん、いざ決戦の秋は来たれり!共に団結し共に戦い抜きましょう。

全ての原発の再稼動を止めることは生きとし生けるもの全ての生命と未来を守ることになるのです。

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