伊方原発環境安全管理委員 様

2013年7月13日
原発さよなら四国ネットワーク
事務局 大野恭子

伊方原発の再稼働を認めないことへのお願い

 伊方原発環境安全管理委員のみなさまにおかれましては、委員としての重責を担っておられることに敬意を表し感謝を申し上げます。

四国電力が7月8日、原子力規制委員会に伊方原発再稼働の申請をしたのを受け、貴委員会で審議されると聞きました。そこで是非、私ども市民の意見や思いをお伝えしたく手紙と資料を送付させていただきました。よろしくご検討ください。

 福島原発事故は2年4ヶ月たった今、収束はおろか、事故原因の特定さえできていません。当初「津波による電源喪失」を初発の原因としていた東京電力も、今では「地震の揺れによる配管の破壊」を否定できなくなっています。
 また、連日報道されるように、福島第1原発の観測用井戸から高濃度の放射性物質が検出され、汚染は私たちの暮らす自然界で広範囲に広がり続けていることが実証されています。

 このような中、政府は着々と福島県民に対し避難解除をし、賠償も次々と打ちきっています。住民の声が一切聞かれないまま、兵糧攻めのようにして「帰還」が進められているのが現実です。
 取り返しのつかない「ふるさとの喪失」、電力会社の不誠実なデータ隠し、国の「棄民政策」が続く現状で、四国電力の伊方原発再稼働申請を、私たちは許すことはできません。
フクシマの人々の苦悩を無かったかのようにするこの振る舞いに、恐怖すら感じています。
ひとたび事故が起きれば、私たちの暮らす「エヒメ」も「フクシマ」になるからです。

以下に私たちの危惧する伊方原発の問題点を挙げさせていただきました。
是非、貴委員会でご審議いただきますようよろしくお願いいたします。

1.「活動期にある中央構造線系活断層 – 伊方原発沖6km」

 高知大学の岡村眞教授(内閣府中央防災会議の地震・津波専門委員、南海トラフの巨大地震モデル検討有識者会議委員)は、先月6月30日の講演会で、この活断層の長さはトータルで650kmなのに、四国電力は360kmで地震動の想定をしている、右横ずれ断層で伊方原発は震源域の真上に位置している、動けばM8以上と予測、四国電力の想定は甘すぎる、大変危険と警告を発しました。

2.「周期的に起きる南海トラフ地震」

 岡村氏は、過去にはM8.6とM8.4の南海トラフ地震の記録があるのに、前回(1946年)はM8.0と小さかったので、今度は過去最大のM9を予想している、と述べられました。2012年の中央防災会議で震源域が広がり伊方原発も入っている、伊方原発は最大地震動570ガルだが、最近は計測機器の精度向上により1000ガル以上がバンバン起きていることが計測可能になり明らかになってきた、2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震で観測された最大加速度は4022ガルで、国の「防災科学技術研究所」が世界で観測された最大値であるとギネスに申請し認定された(2011年1月発表)、大きな地震動になると制御棒が入らない可能性がある、と述べられました。
 
3.「津波への警告」

 都司嘉宣(つじよしのぶ)氏―東京大学地震研究所を定年退職―は、昨年7月29日の講演会で、1596年の慶長豊予地震は中央構造線と連動し伊方付近でも震度6強~7程度の揺れがあった可能性がある、佐賀関の神社が流出したことなどから10.6メートルの津波が推定される、伊方は中央構造線の断層により近いことから、10~15メートルの津波が襲った可能性がある、と指摘されました。南海トラフによる地震については「本震」よりも「余震」で強い揺れが記録されており、中央構造線活断層帯とつながった恐れがあることも指摘されたのです。
 以上のような、最新の知見からして、マスコミが言っている「伊方原発には地震・津波のリスクが少ないので再稼働一番手」という指摘は全くの認識不足であるとしか言えないのです。

4.「中村愛媛県知事の答弁」

昨年6月の県議会で、「動かしても動かさなくても原発はあるのだから危険性は変わらない」旨の答弁を知事はしましたが、稼働中の原発が事故を起こした場合、燃料棒の核分裂生成物が引き続き崩壊する際の崩壊熱が多いため、その温度を下げねばならず、停止中の場合と比較にならない程のエネルギーと作業を要すること、また、炉心溶融などの過酷事故に短時間で移行することは科学的事実です。

5.「プルサーマル運転」

 再稼働を申請している3号機は、プルサーマル運転を行う炉であり、そのMOX燃料には猛毒のプルトニウムが含まれており、事故が起きた場合、ウラン燃料の何倍ものプルトニウムを放出すること、また、使用済みMOX燃料は処理方法も保管場所も決まっておらず伊方原発サイトが超危険な「核のゴミ捨て場」となります。
 ウランのみならず溜まり続けるプルト二ウムは、過酷事故時に放出され、収束不可能な放射能被害をさらに拡大することは、福島原発事故がはっきりと証明しています。

6.「瀬戸内海に面している」

伊方原発は、瀬戸内海という世界有数の生物多様性をもつ閉鎖系水域に面して建てられており、過酷事故が起きれば、瞬時に瀬戸内海が汚染され、そこに棲む多くの生物が被曝すること、また閉鎖性水域であるため、汚染物質が長く溜まり続けることになり、西日本の食糧庫は壊滅的被害を被ることになります。

7.「充分な原子力防災計画が立てられていない」

 昨年9月、愛媛県の防災訓練では、佐田岬半島西側住民の救助のためにヘリコプターと船を用意したのですが、強風と雨のためにヘリコプターは飛ばず、船も岸壁につけられず、結局「救助」できませんでした。
 原発災害は、穏やかな晴天で、海に波もない時を選んで起こるとは思えません。放射能は、風向きによっては短時間で地域を汚染します。原発の西側20km圏内に暮らす住民約5000人の防災・救出計画は、実効性がないと言わざるを得ません。県は住民を見殺しにすると言っているようなものです。
 また、愛媛県は、伊方原発から半径30km以内の地域をUPZ(緊急時防護措置を準
備する区域)として原子力災害対策重点地域として計画を立てていますが、7市町(山口県を入れると8市町)の13万5000人がどのように逃げられるのか、明記されていません。そもそも被害想定が甘く、30km圏内の外の県民の防災対策は完成していないという実態です。
 先日の私たち市民グループと原子力規制委員会との交渉(7月8日)で明らかになったことですが、防災と「原子力規制」はリンクしておらず、防災はあくまで地方自治体の責任であり国はそれを支援する立場だ、ということでした。

 以上、問題点を一部述べさせていただきました。

 これまで私たちが行ってきた要請や申し入れの際、対応した四国電力社員は、私たちの質問に対して「(原発が)絶対に安全であるとは言えない」と答えています。それなのになぜ「安全を前提に再稼動する」と言うのでしょうか。フクシマで起きたことが伊方で起きないと、何故言えるのでしょうか。フクシマと伊方の違いは、フクシマは巨大地震に襲われ、伊方は未だ(・・)襲われていない、ということだけではないでしょうか。

 委員の皆様には、それぞれ専門分野がおありのことと思います。しかし、フクシマが私達に教えてくれたのは、自然は「専門分野の想定」を越えるということです。フクシマの災厄を経験した私たちは、専門分野を越え、「いのち」の上に立って知恵を出し合うべきです。
 私たちは、「再稼働しない」ことこそ今できる最高の、環境安全管理だと考え、委員の皆様の公正と信義を信頼して「再稼働を認めないこと」をお願いする次第です。

以上

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